前略、ユキ子様へ
昨日わが家に届いた小包は、すでに開封されていた。日本からの小包がこのように抜き打ちで検疫を受けることは滅多にないことだけれど、あるにはある。念のために義母に確認を取って中身を確認してみたが、取られたものはひとつもなかったので安心した。しかし、その代わりと言ってはおかしいが、入っていないはずのものがひとつ入っていた。たぶん、同時に検疫を受けた隣の小包の中に入っていたものだろう。出したものを箱にしまうときに間違って紛れこんでしまったと思われる。義母は送っていないのにわが家に届いたもの、それは手紙だった。表には「姉上様」と書かれ、裏には「ユキ子より」と書かれている。残念なことに、その手紙は非常に乱暴に開封されていたので、そっと中を確認してみたら、$100 紙幣が同封されていた。正直に言えばいっしゅん心が躍ったが、そもそも自分宛の手紙ではないのだから、黙ってもらうわけにもいかない。さて、どうしたものか。他人の手紙を勝手に読むという趣味はないが、手がかりがまったくないのでは他に方法がない。何か連絡先が書いてあるかも知れないと思い、その手紙を読んでみると、齢五十から六十以上は間違いないと思われる達筆に旧字の略字。非常に申し訳ない気持ちになる。しかし、残念ながら、そこには連絡先は書かれておらず、結局、ユキ子さんにも文枝姉さんにも、どうやって連絡を取ればいいか分からない。