日本の企業は博士号取得者を採りたがらないとよく言われますが、こと製薬企業に関しては、特に大手は昔から相当数の博士号取得者を採用しています。中堅どころでもそれなりに採用されていました。しかし採用人数という全体の枠が狭められる中、厳しいのは何も博士だけではなく、修士や学士だって全員が希望する企業に入れるわけではないのが現状ですから、数ばかり増えて求人が減っている博士にとってはなおのこと厳しい時代でしょう。日本の企業が博士号取得者を採用したがらないのは、彼ら彼女らが人材として使いにくい、あるいは扱いにくいからだとよく言われますが、これは上記に加えてさらにという部分になります。採用側からすると何がどうあれ結果的にそうなるという側面はあるのかも知れませんが、これだけが理由ではないような気がします。アメリカのことを持ち出すと不愉快な方もいるかも知れませんが、ともかくアメリカでは、製薬会社の研究員となるのに、Ph.D.はごくわずかな例外を除いて必須です。しかも多くの博士取得者は数年間のポスドク生活を経た後に入社します。使えるも使えないも、原則として博士でないと研究員としてのスタートさえ切れないというのが現実なわけです。一方日本では学士でも修士でも博士でも、製薬企業内ではアメリカの博士取得者に与えられるScientistというタイトルに相当する研究員として同じように扱われます。したがってアメリカの研究職はドクター卒が中心、日本の研究職はマスター卒が中心ということになります。