LCMSというのは、液体クロマトグラフィと質量分析をあわせたもので、要するに我々が化学反応を駆使して作った化合物の純度とその分子量を確認できたり、副生成物や不純物が混じっていたりした場合に、それぞれがどれくらいの割合であるかと、それぞれがどれだけの分子量を持つかなどが、一回の分析で、それも数分のうちに一気に全部わかる、そういう機器で、いまどきの製薬企業のケミストリーのラボには必ずといっていいほどあるものです。でもうちはラボが立ち上がって4年余り、これがなかったのです。理由はかなり高価であることと、別途分析化学用にHPLCとMSがそれぞれあって、上記のようにフレキシブルではないものの、基本的な分析はできたこと、などいろいろありました。それがついに、買えることになりました。先日書いたmicrowaveについてはまだ検討中ですが、LCMSはmicrowave reactorのざっと10倍くらいします。代表的な2社の製品を検討して、それぞれデモもやらせていただいて、グループ全員で議論して、片方の会社に決めました。双方ともセールス/マーケティングにはとても力を入れているので、管理担当となるV君がもう片方に断りの連絡をしたのですが、その電話を丸く収めるのはかなり難しいものがあったそうです。というのは、V君、過去に勤めた会社でそれぞれの会社の製品を使ったことがあって、セールス担当者もそれぞれよく知っていたので。ベイエリアのバイオ業界は本当に小さな世界ですから、いつどこで、誰といっしょに仕事をすることになるかわかりません。そういう点からも、こういった機器のベンダーを選ぶ際にも、関係を悪化させず、将来にいかなる可能性も残せるよう、それなりに気を使うことになるわけです。次々と新しいセットアップをしていくベンチャー企業の一面でした。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2007年6月26日(火) 23:33