2006年、Cardiology in the Young という医学雑誌に、次のようなタイトルの論文が掲載されています。Fibromuscular dysplasia as the substrate for systemic and pulmonary hypertension in the setting of Moya-Moya disease日本語にすると、「もやもや病にともなう全身性および肺高血圧症の下地としての繊維筋性異形成」みたいな感じでしょうか。Fibromuscular dysplasia(繊維筋性異形成)というのは、何らかの原因で、主に中小クラスの動脈の発達(形成)に問題があり、血管の内膜が繊維増殖あるいは過形成して、要するに動脈が狭窄してしまいます。3歳でもやもや病が、4歳で肺高血圧症が見つかったフランスの少女が、15歳の時にこの論文の著者らのクリニックを訪れました。いろいろと調べた結果、当初もやもや病にともなう原発性肺高血圧症と考えられていたこの患者さんの病状は、実は繊維筋性異形成の合併症と考えられると結論し、これがこのような病気(の組み合わせ)の世界で初めての報告であるとしています。もやもや病は日本人だとだいたい3万人にひとりくらい、世界では5万人から10万人にひとりくらいの罹患率、一方で肺高血圧は2万5000人にひとりくらいの罹患率と見積もられています。ですからこの両方を持つ確率は、もやもや病として3万人にひとりの方を使うと、単純計算で3万×2万5000=7億5000万人にひとりということになります。実際には過去に数例、もやもや病と肺高血圧症を併発している患者さんの報告があり、これは少なくとも今までに数人は見つかっていることがわかっています。もちろん世界には医療の行き届いてないエリアもたくさんあるので本当のところはまったくわかりませんが、だいたい数億人にひとりの確率といったところでしょうか。そこに全身性の高血圧も加わると、数10億人にひとり程度になるかも知れません。つまり世界にひとりふたりいるかどうか。宝くじで1億円当たる確率は1000万分の1です。10億分の1というのは、いってみれば1億円を100回当てるくらいのチャンスといえるかも知れません。もしかしたら違うかも知れませんが。ちなみに飛行機事故は20万回乗ると1回遭うくらいなのだそうです。つまり10億分の1というのはほとんどゼロといっていい、まあ通常あり得ない確率ということです。でもそんなことが実際に起こる。おそらく見つかっていないだけで、実際にはもっとあるのだと思いますが、いずれにせよ、あり得ないと言っていても何も始まりません。事実は事実。問題が見つかれば、ベストを尽くして対処するのみです。
投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2008年6月7日(土) 20:23- 参照(207)
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