最近、年の近い知人友人らに病魔に蝕まれる人が多くなってきました。
東京に行くからと、かつて頻繁にベイエリア出張に来ていた友人に数年ぶりに連絡を取ろうとしたものの返信はなく、東京出会った共通の友人から、その彼は現在、白血病で闘病中と聞き、心底驚きました。
郷里で会った高校の同級生は比較的最近、心筋梗塞になり、手術を受けたとのこと。
そして、この年末年始に再びでベイエリアに遊びに来る予定だった友人夫婦の旦那さんは昨年秋口に突然倒れて亡くなってしまいました。
他にも、病に冒されて闘病している友人が数名おります。みなさんの回復を心よりお祈りします。
こういう話を聞くと、自分もそういう年齢になったんだと痛感します。そして、久しく健康診断を受けていなかったことを猛反し、今回の東京出張の際に人間ドックを受けることにしました。申し込んだのは、以前、日本で働いていた時にお世話になっていた六本木にある新赤坂クリニック。友人らの話を聞いて、可能なら、内視鏡での胃や腸の検診を受けたかったのですが、これらは平日しかやっていないとのこと。今回は出張とあって平日は仕事。仕方ないので、土曜日に受けられる基本コースのみの受診を申し込みました。
さて、検査当日の土曜日。
時期的に繁忙期ではないとのことで、クリニックはガラガラでした。受付を済ませ、問診票に記入し、医師と現在の健康状態について会話しました。その際、僕が前回ここで人間ドックを受けたのは12年前だと聞かされました。アメリカに渡米してからも一度日本帰国時にここで人間ドックを受けたのですが、それがいつだったかすっかり失念していましたが、あれから12年も経っているとは。この12年間、僕は全く健康診断を受けていません(厳密に言うと、10年前に永住権を得る際に健康診断はしたけれど、人間ドックほどに精密な検査ではなかった)。
この時、医師に、今回、胃カメラを受けたかったが、土曜日はやっていませんよねーと世間話程度に口にしたところ、担当医師が次のことを言ってきました。
- 水曜日朝に胃カメラのキャンセルが出たので希望するならその時間に受けられる
- ただ一般的には、バリウムでの検査やピロリ菌の反応が出てから二次検査で胃カメラをする
- でも今まで一度も胃カメラしてないなら、今回やってみても良いかも
とのことでした。幸い、水曜朝はミーティグ等もなく、胃カメラも午前10時までには終わるとのことなので、水曜日に胃カメラを受けることにしました。
胃カメラを申し込んだので、土曜日の検査ではバリウムによる胃の検査は無しになりました。でも、この日の料金変わらずで、ちょっと損した気分(貧乏根性丸出し)。
人間ドックの結果はまだ郵送待ちな状況ですが、その場で分かったのは、身長が1センチ伸びて183cmになっていました(笑)。そして、体重がヤバイことになっていましたね…。減量せねば。
さて、ここからは、その次の水曜日の胃カメラ体験談です。
事前にいろいろと情報を得てはいましたが、胃カメラは結構キツかったです。
胃カメラを受けるには、まずは事前診断を受け、その後日、胃カメラという流れになるのだそう。僕の場合、土曜日の人間ドックを終えたあとで、事前検査を受けることになりました。事前検査と言っても、簡単な問診と当日の流れの説明を受けるだけです。
問診はこれといって何もなかったのですが、ひょっとしたら人間ドックで必要な情報を得られていたからかもしれません(血圧とかもう一度測る必要もなかった…とか)。
当日の流れの説明では、鼻からチューブを通して小型カメラを胃に送り込む方法を採用していること、鼻に麻酔薬を投入すること、希望するなら喉の違和感を軽減するための麻酔を打てること、胃の中の様子はモニターを通してライブで見れること、鼻から入れるので検査中に検査医師と会話ができることが説明されました。
渡された配布資料には、検査を受けている患者が、楽しそうに笑いながら医師と会話しているイラストが描かれていました。
また、注意事項として、胃カメラ前日の食事は午後10時までに済ませ、消化の悪いもの(肉、貝など)は避けること。お酒は控えるようにとの指示がありました。が、前日火曜日は昔の友人との会食があったので、食事は10時以降は避けましたが、お酒は少しだけいただいちゃいました。
さて、水曜日当日です。
指定された時間にクリニックに行き、受付を済ませると、ほどなくして、名前を呼ばれました。看護婦についていき、まずはカーテンで個室となっている部屋に入り、そこにある一人用ソファーに座らされました。そして、今日これからの流れの説明を受けます(これは事前に聞いていたものの繰り返し)。
さて、いよいよ検査準備です。
まずは鼻の通りを良くするために鼻の中に薬剤を噴霧します。銃口の細長いガンのような装置で、鼻の中に霧状の薬が噴霧されました。結構勢い良く噴霧されるので、喉の奥で液体になって飲み込むことになります。これ、久しく忘れていた子供の頃に通っていた耳鼻科の味を思い出しました。
次に、鼻にチューブを通す際の違和感を軽減するための麻酔薬を鼻に入れます。ソファーがリクライニングされて、天井を見るような格好になりました。麻酔薬はジェル状の物質で、針のない注射器に入っており、これを両方の鼻に流し込みます。上を向いているので鼻からは落ちて来ませんが、反対側の喉の奥にゆっくりと麻酔薬が流れていくのがわかります。喉に流れた麻酔薬は、飲み込んでしまうよう指示があったので従います。
麻酔が聞くまで約3分程度待ったところで、細めのチューブを両方の鼻に通してどちらが通りやすいかをチェックします。通りやすい鼻が決まったら、今度は実際太さのチューブを鼻に通して、問題なく挿入できるかをチェックします。
ここまで確認ができたら、ソファーからおりて、隣の検査室へと歩いて移動し、検査室のベッドに横になります。自分からは見やすくはないですが、モニターも視界に入っています。
検査医師が、「じゃ、これからカメラを入れますね」と言って、鼻からカメラのついたチューブを入れます。鼻はすでに麻酔が聞いているので、多少違和感はあれど全く苦痛ではありません。モニターには、鼻毛のジャングルが映し出されています。
おおー、この程度なら楽勝じゃね?
とこの時点では思っていたんですが、甘かった…。
「はい、じゃ、食道にいきますねー」
カメラは食道に通りかかります。うわっ、なんかオエッとする感覚です。そう、この感覚、風邪をひいて医者に行った時、医者が喉の奥を見せてねーと言って、大きく口を開けた僕の口の中に金属のヘラを入れて舌をグッと押さえつけるような感覚。
「ここから胃に入ります」
胃に異物が入ってごそごそ動いているのがわかります。相変わらず喉の奥には異物があって吐き出したいけれど、我慢。
「そして、十二指腸入口ですね」
ぽっかりと空いた穴が画面には映し出されていました。
十二指腸入口まで結構すんなりと入ったので、こんな簡単に終わるのかと思いきや、胃のチェックはここからはじまりました。そう、最初に奥までカメラをいれて、ゆっくり戻しながら検査をしていくのですね。
カメラを少しずつ取り出すようにしながら、胃壁の様子をモニターで確認していきます。
自分の胃は空っぽで、自分でいうのも何ですが、胃壁も綺麗な色をしていました。
胃壁の一部に虫刺されのような赤い点がありました。これを「びらん」と呼ぶそうですが、別な言い方をすれば「ただれ」とのこと。この赤い点も素人目には気づかないレベルのもので、検査医師曰く、全く問題ないレベルだそう。
胃の中に食べ物などは残っていませんでしたが、一部に白い胃酸があって胃壁を隠していました。すると、この胃カメラチューブ、なんと先端から水を放出して胃酸を洗い流すではありませんか。これがまた違和感ありまくり。だって、何も飲んでいないのに、胃の中が冷たい液体がどんどん満たされていくのが分かるのです。
そして、どうやらその水を吸い出す仕組みもあるようでして、胃はどんどん軽くなっていきました。
また、胃壁にある薬剤をかけて問題があるかをあぶり出すなんてこともやっていました。なんでも、その薬剤をかけると、ガンだったか何かの疑いがあるときは色がつくのだそうですが、僕の場合は変色しなかったので異常なしとのこと。薬剤散布後には、その薬剤を中和する薬も撒いてました。
と、まあ、こうして検査は無事に終了。時間にして10分程度だったでしょうか。
しかし、辛かった。何か辛いって、横向きに寝ているので、口からはヨダレがだらだらと出るんですよ。口のあたりにはペーパータオルみたいなのが敷いてあって、ヨダレは垂れ流すように言われていたので、そうしますが、横向きだと素直にヨダレが出てくれないんですよね。さらに喉の奥の違和感で、オエッ、オエっとなることしばしば。目からは涙が溢れてくるし、吐きたい気持ちがあるけれど、吐かないように頑張るのが大変でした。
場合によっては、胃の細胞を取って検査することもあるようですが、医師の話ではそういうケースは少ないそうで、僕もその必要はなかったようです(ちなみに、これをすると、その日は飲酒禁止になるそう)。
検査終了後、その場で、医師が胃カメラで撮影した画像をモニターに映し出しながら、診断結果を教えてくれます。
これって、もし、ガンが見つかったりしても本人にその場で告知するってことなんですかね。
僕の場合、全く問題はなし。むしろ綺麗な胃だと言ってくれました。わーい。
検査医師曰く、ピロリ菌が検出されなければ今後五年は胃カメラする必要はないとのこと。なので、次は五年後です。また、検査結果等は書面で送ったりはせずに、この口頭の説明がすべてなのだとか。
また夏に日本に帰省することになるので、その時には内視鏡で大腸を見てもらおうかと思ってます。
ちなみに、保険なしの全額自己負担で、胃カメラの事前検査が3000円弱、胃カメラ自体の料金は1万円程度でした。
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