Pasonatechのサイトで連載している「働けシリコンバレー」。基本的には、シリコンバレーで働く日本人にインタビューしたものを連載している。時々そうじゃない回もあるのだが。最新号は福澤伴子さん。今回の特徴は、「アメリカの理系大学院に留学して、卒業後に出る『お試しビザ』であるところのoptional practical training (OPT) visaをゲットして、テクノロジー系企業に就職する」という王道のキャリアの人がついに登場したこと。これが一番楽にシリコンバレーで働く道なはずなのだが、このインタビューを始めて、そういう日本人はなかなかいないということがわかった。近いところでは、VMWareで働く吉澤さんのインタビューがある。カリフォルニア大学サンタクルーズ(UCSC)校の分校がシリコンバレーにあり、ここに9ヶ月通って大学卒業と同等の証書をもらい、OPTビザを取って就職したそうです。しかしそれ以外の人は「たまたまシリコンバレー転勤の話があったので、それにのって」とか「知り合いが起業するのでそこに参加」みたいな再現性の低い方法で来た人が多い。中国人とかインド人は、上述の「アメリカの理系大学院に留学して、卒業後に出る『お試しビザ』であるところのoptional practical training (OPT) visaをゲットして、テクノロジー系企業に就職する」という王道がザックザックといるわけだが、日本人はそうではないのであった。なぜか。思いつくのは、OPTを取った二人はいずれも名前に「澤」の文字が入る、つまり澤が苗字にあるのが重要だ・・・・というトンデモではなく、
- アメリカの理系大学院に自費留学するようになったのは今30歳以下くらいの人たち。ゆえに、まだそういう人の母集団が少ない(それ以上の人のバルクの留学生は企業派遣なので、卒業と共に日本に帰ってしまう)
というのと
- 今シリコンバレーにいる日本人エンジニアにはプログラマが多いが、スーパープログラマにとっては大学で勉強するのは馬鹿馬鹿しいので、学歴から縁遠い道を歩んでいる
という二つの理由かな、と。(後者は、むろんアメリカ人だとそういう人はあちこちにいるのだが、外国人では、そういう人がビザを取るのは大変。なので、数の上では「理系大学院組」が圧倒するわけです。)さらに言うと、「日本国内で王道的バックグランドと見なされるメインストリーマーは、日本を離れない」ということもありますね、多分。(このアタリが、低学歴の親を持つ東大生はシリコンバレーに行く、というのにも現れているのかもしれない)。とはいうものの、最近は日本でも「海外の大学に行く」ための予備校とか高校が流行ってるみたいなので、10年後にはかなり違った様相を示している可能性はありますが。余談ながら、何度も言っているとおり、アメリカの理系大学院は基本的には自己負担なしで卒業できるシステムになってます。とりあえず最初の半年~1年分なんとかなれば、あとは生活費もらいながら学位が取れるケースが多いのでぜひどうぞ。
投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年3月2日(月) 18:07- 参照(288)
- オリジナルを読む