書籍:「いま、すぐはじめる地頭力」(★★☆)コメント:思考法に関する書籍。なかなか面白い内容であった。本書籍に於ける「頭がいい」とは、物知りであるとか、機転が利くという事ではなく、地頭がいい(思考能力が高い)事と定義している。従来からロジカル・シンキング(論理的思考)が重要視されてきたが、本書籍では論理的思考だけでは新しい発想は生まれないとの事。先ず、「考える力」のベースとなるのは「知的好奇心」であり、その上で「論理的思考力」「直観力」が加わって以下の様な思考力を実現出来るとの事。1.仮説思考力:「結論から」考える思考力2.フレームワーク思考力:「全体から」考える思考力3.抽象化思考力:「単純に」考える思考力1.仮説思考力:「結論から」考える思考力「考える」には「考え始める」という高い敷居がある。つまり心構えが大事である。1)時間に対する感度を上げる: ジョン・メイナード・ケインズは「正確に誤るよりは、漠然と正しくありたい」としている。ケースバイケースではあるが、私達の日常生活でも「正確性」を優先して十分な精度が得られるまで時間を掛けることが要求される場面と「正確性」は二の次でも「65点」の結果を出してスピーディに先に進む事が要求される場面がある。ただし、日常生活でもビジネスの現場でも、圧倒的に後者の場面、すなわち「正確に誤るよりは、漠然と正しくありたい」ことが要求される場面の方が多いのではないかとの事。 一方、私自身は、本記載(ケースバイケースとの断りはあるが)に関しては異なる印象を受けている。日本企業の競争優位性とは、その正確性、匠の技にあると考えており、例えビジネスでも同様だと思う。然しながら、最近はスピードを重視するあまり仕事を"仕上げる"部分が軽視されている事を危惧している。2)知的依存心を捨てる: 聞けば教えてくれる人がいる様な「恵まれた」環境が「考えない」人を作る3)自分の「思考のクセ」を徹底的に認識する: 人は、相手より自分、将来より現在、結果よりプロセス、全体より部分を重視する傾向があり、また自分は特殊だと考え、他人は一般化する傾向が強いとの事。2.フレームワーク思考力:「全体から」考える思考力が大事であり、三つの座標系を用意する事で「思い込みをリセットして考え・三つの座標系 個人の視座(立ち位置) 視点(見る方向) 視野(見る範囲)また、「期待値管理」が重要との事。上司・部下の関係でも不満というものがあるが、この不満は期待値とのギャップによって生じるものである事。このギャップには、「両者間の事実認識のギャップ」と「両者間の座標軸のギャップから生じる不満」があるとの事。特に、座標軸のギャップとは、両者の事実認識は一致しているが、評価する視点・尺度が異なる事による生じる差(ギャップ)であり、とても身近な現象だっただけに思わず笑ってしまった。3.抽象化思考力:「単純に」考える思考力 対象となる複数の対象物から離れて考えるイメージ。しかし、人間には自由に思考しようとすると強力な「阻害求心力」が働いて、「離れる」ことを邪魔をする。従って、如何に難しい事を簡単に言えるかが重要との事。また、地頭力を鍛える練習としては、フェルミ推定の練習が効果的との事。いま、すぐはじめる地頭力(2008/06/11)細谷 功商品詳細を見る
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