ドリフターズ、といっても「8時だよ!」のではありません。モントレー水族館(他の水族館でもあるかとは思いますが)に行くと、Driftersというコーナーがあって、そこにはたくさんの種類のクラゲたちがいます。もともとは「流れ者」みたいな意味ですが、ぷよぷよふわふわと漂う彼らをそう呼んでいるようです。その動きはまさに波間を「ただよう」という感じで、かさの部分をしゅっと閉じてやや素早く動く時もありますが、おおむねぷよぷよふわふわしています。

「大きな会社を辞めて(ベンチャーみたいなものに飛び込んで)不安はなかったのですか?」というのはよくある質問のひとつです。

一度も転職したことがないと確かに不安もあります。最初の1回が一番バリアが高いのですが、一度やってしまえば、別にそんな大騒ぎするほどのことでもないじゃん、という気になるものです。そしておもしろいことに、「飛び出してみて初めて感じる不思議な安定感」みたいな感覚があります。

自分は泳げないと思っている人が、背中を押されたにせよ自分で勇気を出したにせよ、何かのきっかけで水に飛び込んでみたら、なんだ浮かんだじゃん、みたいな感じでしょうか。

しっかりした大企業というのは、例えてみれば海の中に立つ大きくて頑丈な建物のようなものかも知れません。まわりが深い海でも、多少荒れていても、その中にいればまあとりあえずは安心みたいな。

そこからあえて外の海に出るのはちょっとだけ勇気がいりますが、そのちょっとだけの勇気を出して出てみると、意外と簡単にぷかぷか浮かんでいられるものかも知れません。一度出てしまえばもうdriftersの仲間入り(笑)。流れに任せて見えてきた小さな島に上がってみるのもよし、通りかかった船にのせてもらっていっしょに漕ぐのもよし。嵐に遭って荒波に放り出されたとしても、浮いている小さなものはそう簡単には沈みません。我慢していれば嵐もいつかは通り過ぎますし。

しっかりした土台の上に立つ大きな建物は、いったん土台にひびが入ったり何かの理由で土台が崩れだすと、全体が止めようもなく崩れてしまい、中にいる人は下手をするといっしょに埋もれてしまう可能性もありますし、浮上するのに非常に苦労するかも知れません。

大きな海でぷかぷかと漂っているのは一見不安定で頼りなく見えるかも知れませんが、周囲の状況や環境に応じてフレキシブルに対応できるという点で、「不思議な安定感」と書きました。何とかなるさ気分、ということです。それに窓の少ない建物の中にいるよりもいろいろ思わぬ体験ができて、景色もたくさん眺められるという点も、なかなかいいものです。長いこと漂っていると、浮いたり移動したり何かをするための小道具みたいなものもだんだん増えていくような気もします。

もちろん極端な例えではありますが、何となくそういうものかも・・・という気もしないでもない、と思いませんか(^^)?

でももしかしたらあの「ドリフターズ」も、普通のバンドであることをやめて、他の人があまりやっていない新しい道を切り開いていくにあたって、似たようなことを考えていたのかも、なんて・・・。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2008年2月4日(月) 22:00