コウ先生は台湾の元産婦人科医。台湾で一番大きな病院の理事を引退後は、台湾と東京に家を持ち、シドニー、カリフォルニア、オハイオに住むこどもや孫たちに会うために、季節や旬のうまいものに合わせて奥さんと二人で移動する生活だった。
カリフォルニア滞在中は、週に2-3度スシトミに来て、熱燗を2合飲み、刺身をつまむのだが、日本語の達者なこの先生の含蓄ある話しを聞くのは、いつも楽しみだった。戦争、日中、台中の関係を淡々と、けっしてどこの悪口も言うのではなく、自ら確認するように話してくれた。
その先生が急逝されて早や7年、久しぶりに集った家族たちの話を聞いて驚いた。
朝起きた先生は一番に行きつけの床屋を予約。「まだ伸びていないじゃない?」 という奥さんに対し、「いや、みっともないから切っておく。」 と言って出かけたそうだ。そして、いつものように談笑しながらヒゲを剃り、整髪し終えたところでいつの間にか寝たと思われた先生は、そのまま生を終えていたそうだ。
その顔はきれいで、そのまま葬儀に出したそうだ。享年79歳。おみごと。
投稿者: 寿司豊味ととろぐ Sushitomi 投稿日時: 2008年1月30日(水) 15:02- 参照(241)
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