オープン当初から行きたいと思っていた、「いろり家」についに足を運ぶことができました。いろり家は炉辺焼きの店。居酒屋ブームのアメリカ(ベイエリア)ですが、炉辺を売りにする店まで登場です。

いろり家は、Los Altosの炭家、Santa Claraのラーメン俺ん家と同系列のお店で、どちらも絶大な人気店だけに、いろり家も間違いなくレベルが高いのは疑いの余地がないと思われますが、果たしてその実力や如何に。

お店があるのは、俺ん家のすぐ隣。
いろり家に行こう!と決めたのが日曜日の夕方で、当日予約は取れないだろうと思っていたものの、意外にも7:30pmからの予約があっさり取れてやや拍子抜け。きっと、店は混雑しているのだろうと思ったんですが、これまた予想を裏切られまして、待ち行列はありませんでした。

一方、隣の俺ん家は席待ちのお客が店外まで並んでいました。

うーん、ちょいと意外。多分、これには二つの理由があるのでしょう。1つは、この日がイースターウィークエンドだったということ、そしてもうひとつは、このお店のつくりがお客を選り分けているということ。

いろり家のつくりは、日本ではそれほど珍しくはないかも知れませんが、アメリカでは珍しい(少なくとも、大都市部ならこういう店もあるだろうけれど、Santa Clara界隈では珍しいかと思われる)隠れ家的な作りのお店。道路に面した店の一面全面が壁で、そこにその壁に迷彩して溶け込んだようなドア。かろうじて、申し訳程度に覗き窓がそのドアの横にあって店内の様子を覗けるものの、パッと見、これが食事処とは分からないでしょう。実は、僕も、いろり家の目の前まで来ても、どこに店舗があるのかしばらく分かりませんでした。

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提灯にかろうじて店名が書かれていましたが、すべて日本語表記。なかなか挑戦的です。

さて、店内へ。

店内は奥に長い作りになっていて、右手にカウンターが、店内奥に向かってテーブル席が並びます。天井は高く空間を広く見せていますが、店内のインテリアはシンプルながらも、すべてにこだわりが感じられます。店内は薄暗く、一昔前のカメラ泣かせです。店の奥から入口方面を見るとこんな感じです(手振れ御免)。

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炉辺焼きの店にふさわしくカウンター越しに炉辺があり、威勢の良いスタッフが手際よく注文の入った品を焼いています。

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テーブルや椅子もシンプルながらも、特注したものと思われます。テーブルは大木をカットした一枚板で、重厚で木目が美しく、椅子もどことなくアンティークな感じを与えさせます。テーブルの一部、朽ちた部分は穴が開いていたりするのはご愛嬌。

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この日は、いろり家の責任者、まるちゃんがお店にいたので、いろいろとお店の特徴やこだわりを伺うことができました(ありがとうございました!)。

ざっと、聞いたことを書き記しておくと、こんな感じです(リップサービス的なところもあると思うので、その辺差し引いて読んでください)。

  • いろり家は飲兵衛のための店で、誰にでも来てもらえるような店ではない。俺ん家に来たお客が満席だからと隣のいろり家に流れてこられても、店がターゲットとする客層が異なるので満足はさせられないだろう。そういった意味からも、いろり家は看板などを極力排して、間違って入ってこられるのを防いでいる。
  • 飲兵衛が好むように、つまみの味付けはやや濃い目
  • 日本酒の品揃えはベイエリア随一を自負
  • 魚をはじめ日本から取り寄せている品も多々あり
  • 値段は安くはない。がそれに見合う品・雰囲気・サービスを提供している

この日はいろいろとまるちゃんお勧めをいただきましたが、刺身、焼き物、蒸し物、飯・・いずれも美味くてびっくりでした。

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牛タタキは口の中でトロケルし、ハマグリはプリプリしていて最高だし、釜飯はショウガがピリッとアクセントを利かせていて、どれもこれも幸せを感じる品々でした。

そんな中でも、ワタシのイチオシのハートをギュっと奪ってしまった一品はこちら。

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TKG = タマゴかけご飯。

飲んだ後の〆にこういう一品があるのが嬉しいところ。もちろん、定番の焼きおにぎりや茶漬けもあるけど、やっぱタマゴかけご飯最高!

そして・・・(これ書いちゃっていいのかな.. でも、Yelpにも載っていたので良しとしましょう)
特別に出してもらった、裏メニューのラーメン。こちらは鯛の出汁を使ったとっても品があって柔らかな味のスープです。俺ん家のラーメンとはこれまた対極の味で、こちらがめちゃウマでした。
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お店のこだわりは、BGMにもあらわれています。

こういう純日本的な飲み屋だと、歌謡曲(昨今、"J-POP"などという横文字かぶれな言い回しを目にしますが、そういうの嫌いです)や演歌をBGMにする店が多いですが、いろり家は違いました。ホールではピアソラが、トイレではボサノバが流れていました(まるちゃん曰く、ホールとトイレの音楽を意図的に違うものにしているのだそう)。普通そこまでやりますか?参りました。

トイレと言えば、

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こんな遊び心に、ニヤリとさせられます。

と、いう訳で、いろり家大満足です。

はっきり言って、お値段は安くはないです。でも、それに見合うだけの内容はあると思うので、個人的にはまた行きたいと思いました(一緒に行ったかみさんも友人も大満足でした)。

というか、「安くない」と書きましたが、まぁこのくらいの値段かな?と予想した範囲内には収まっていたので、自分的には全然アリでした。

お店にはハイチェアも用意されています。2歳児のぴろ子も店のメニューをガンガン食べていました(今回オーダーした中で一番高かった牛タタキをぴろ子にたくさん取られたのが悔やまれる・・・牛タタキなんて食わせるんじゃなかった)。

飲み屋なので、お酒の品数多いのですが、これもこだわりなのでしょうね、日本酒でつけた梅酒や、赤ワインのピノでつけた梅酒なんかもありまして、これがまた美味かった。そして、自家製モヒートはジンジャーがピリっと聞いていて、なかなか面白い(アメリカのバーで飲むモヒートよりは格段にクセがあるが、それがまた美味い)飲み物でした。面白いといえば、ガリガリ君アイスを使ったチュウハイなんてのもありました。試してませんが(どなたか試した方いたら感想聞かせてください)。

火曜日から土曜日までは、深夜0時まで営業しているのも嬉しいところ。

独断と偏見で書かせてもらうと、この店は、明るく健全なファミリーがみんなでワイワイ食事する場所じゃないです。仕事で疲れたサラリーマンがネクタイ緩めて、カウンターに座り、魚を炙ってもらいながら、ひとり、または少人数でチビチビやるところでしょうか。または、(酒が飲めるカップルが)デートて使うのも悪くないかと。

チャンスがあれば、仕事帰りにふらりと立ち寄りたいけれど、ウチからは遠いのが難点。また酒飲みの場所なのに、車じゃないと行けないってのが厳しいところ。でも、また行きたい~。

そういえば、以前何かの番組で見たのですが、日本では高級炉辺焼きの店が繁盛しているようですね。特に外国人客にウケているとか。日経BPが記事にするくらいの人気のようです。いろり家も、日本の食文化に興味がある方には喜ばれるお店じゃないかと思われます。

いろり家
3548 Homestead Rd.
Santa Clara, CA 95051

投稿者: Franklin@Filbert 投稿日時: 2014年4月21日(月) 01:55