先週末、この学会↓に参加するために2泊4日というとんぼ返りで東京に行ってきました。
第1回日本肺循環学会学術集会
それまでの「日本肺高血圧研究会」から「日本肺循環学会」へと名前が変更されたのですが、内容的には肺高血圧症に関するものがメインです。
肺高血圧症は、最初の薬となるフローラン(プロスタグランジンI2製剤)が実用化されるまで(米国で1995年、日本では1999年)はほとんどなすすべがなく、診断後の5年生存率が25-30%という非常に厳しい病気でした。その後、上記に加えてエンドセリン拮抗薬やPDE5阻害薬の有効性が確認、そして認可され、これらの薬剤を用いることにより現在の5年生存率は75-80%程度と劇的に改善しています。ただそれでもまだ80%程度ですし、病気が治るわけではありませんので、そこにunmet medical needがあることには変わりません。
上記以外の新しい作用機序に基づく薬剤の臨床開発もいくつか進められていますが、まだまだ研究が必要な分野のひとつです。
数万人にひとりいるかどかというレアな難病ですが、癌やアルツハイマーなどと異なるこの病気特有の厳しさのひとつが、発症年齢の若さです。5歳から15歳くらいの子供の年代に最初のピークがあり、その後20-30代の女性を中心にもうひとつ発症のピークがあるのです。これが多くの成人疾患と大きく異なるところです。
うちの会社でも、私たちが得意とするホウ素を含む化合物で、この病気の治療薬開発ができないかと考え、まだアーリーなステージのため資金的にも制限があるのですが、ROCK阻害剤の研究を始めています。もしコラボレーションにご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひご連絡いただきたいと思います。
投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2012年9月23日(日) 16:42- 参照(104)
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