冬休みの自由研究として(^^)、辛味成分について調べてみました。カプサイシンってわさびだっけ?とうがらしだっけ?とあやふやだったので。ウィキペディアを中心に確認しました。

辛味の主役は3成分あるようです。ひとつめはアリルイソチオシアナート (allyl isothiocyanate) あるいはイソチオシアン酸アリル。ワサビ、カラシ、ホースラディッシュ、大根などの辛味成分で、カラシ油と呼ぶこともあるそうです。沸点は148-154度ですが、揮発性があるのでツーンときます。ただしこの化合物がワサビやカラシに直接含まれているわけではなく、植物中ではシニグリンと呼ばれる配糖体として存在し、すりおろすなどした際にミロシナーゼという酵素に触れると、一種の加水分解を受けて生成します。その際に硫酸水素カリウムとグルコースが副生します。その反応機構を推定すると以下のような感じでしょうか。2,3-シグマトロピー転位っぽく書いていますが、次に記す成分のことを考えると単純なアリル基転移なのかも知れません。

アリルイソチオシアナートは、受容体活性化チャネルのひとつであるTRPA1を活性化し、適量の摂取は抗癌、抗菌などの作用を示すものの、大量に摂取すると有害とのこと。化学的反応性の高いイソチオシアナート誘導体ですから、毒性があるのは当然ですが、ワサビもカラシも大根も摂取するなと言われたら食生活かなり色褪せますよね。

ふたつめは、上記の親戚筋となります4-ヒドロキシベンジルイソチオシアナート(4-hydroxybenzylisothiocyanate)で、シロカラシ(西洋マスタード)の辛味成分。分子量が大きく揮発性がないため、マイルドな辛味となるようです。シニグリンと同様な配糖体のシナルビンから、ミロシナーゼによる加水分解よって作られます(図では水分子は省略)。原料と生成物を眺めるにつけ、ベンジル基の転移と考えるのが妥当かと。

みっつめは、唐辛子の辛味成分であるカプサイシン (capsaicin)です。受容体活性化チャネルのひとつであるTRPV1というターゲットを刺激するそうです。体内に吸収されたカプサイシンは脳に行って内臓感覚神経に働き、発汗や強心作用を示すとのこと。

このカプサイシンの構造なんですが、おもしろいことに左側の芳香環の部分はバニリン(vanillin)という化合物からできています。バニリンというのはその名のとおり、バニラの香りの主成分です。下に示すように、カプサイシンはバニリンとアンモニア(NH3)と脂肪酸(右側部分)からできていると見ることができます。

唐辛子の辛味の成分が、実はバニラの香りの成分を含んだ構造になっているって、ちょっとおもしろいですね。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2010年12月28日(火) 21:52