sushi1数ヶ月前、エジプト人とドイツ人が僕の隣のオフィスにやってきました。先週、自己紹介を兼ねた雑談をしているうちに、僕とオフィスシェアしている台湾人を含めた4人で寿司屋にいこうなんて話しになりました。台湾人とは長い付き合いだから、彼女が寿司に慣れ親しんでいるのは知っているんですが、このエジプト人とドイツ人がどこまで寿司を食べられるのかちょいと疑問だったんです。ドイツ人はまだ若いけれど、エジプト人はもう孫がいる年齢だし、基本的にムスリムなのだろうから、カリフォルニアロールとカッパとカンピョウしか食べられなかったりするのでは…。そんな懸念は残りつつも、サンマテオの寿司サム(江戸又)へ行くことにしました。寿司サムは、平日にも関わらず店の前は行列。ウェイティングリストに名前を書いた段階で、45分待ち!と言われるも、あきらめず待って入店します。ほんとココは人気店です。テーブルについたあとで、ウエイターが僕が日本人と知るや、英語メニューに加えてその日のお勧めが日本語で書かれたぺらぺらの紙一枚を持ってきます。みんな興味深々です。とりあえず、そのスペシャルメニューをひとつひとつ皆に説明するのですが、一苦労。「えっと、大トロは、Fatty Tunaでしょ」と言うや、台湾人は、それを食べる~と言い出すのですが、このスペシャルメニュー、値段が書いていないんですよね…。それがチト怖い。もちろん、ウエイターに確認しましたよ。ちなみに、大トロは、2カンで$12でした。さて、いろいろ相談した結果(といっても、最後は「ぴろりんに任せる!」になりましたが)次のものをオーダーしました。アペタイザー 枝豆、穴子天麩羅、揚げ出し豆腐、サーモン刺身、いわしつみれ寿司 大トロ、ウナギ白焼き、ギョク、ばってら、フィラデルフィアロール、スパイダーロール、キャタピラーロール※いわしつみれ、大トロ、ウナギ白焼きはスペシャルメニューからのオーダー狙いは、無難そうな巻物を多めにして、値段を安く済ませよう作戦です。さて、料理が運ばれてきます。果たして皆の口に合うのだろうか…。が、心配は杞憂でした。ドイツ人もエジプト人も、ちゃんとすべて万遍なく食べているのを確認しほっとしました。安心したからか、ちょいとお酒を飲みたくなったので、「酒でも飲む?」と提案したところ、ドイツ人とエジプト人は乗り気(この台湾人は下戸)。ドイツ人は、「冷えた日本酒が良い!」なんて嬉しいことを言ってくれるじゃないですかっ! 見直したぞ、ドイツ人! エジプト人は「酒(アルコール)ならなんでもOK」だそうで。そこで、一番安い男山を2合オーダーして、3人でシェアして飲みます。この店、1合枡酒でサーブするので、ひとつ湯飲みをもらって、僕は湯飲み茶碗で酒盛り、ドイツ人とエジプト人は枡からすすってもらいます。エジプト人もドイツ人も、なんのためらいもなく日本酒をうまそうに飲んでくれました。sushi2結局、アペタイザーも寿司もすべて綺麗に平らげ、日本酒も綺麗に飲み干しました。話によると、このエジプト人、酒が大好きらしく、頻繁に飲んでいるそう。ドイツ人を含めて、良い飲み仲間になれそうな気がします。これから先がちょっと楽しみです。エジプト人にいつから寿司を食べるようになったのかと聞いてみたら実はまだ2,3年前なのだそうです。彼は以前、サンディエゴに住んでいて、当時、寿司好きの友人と頻繁にサンディエゴの有名寿司屋おおたに通っていたのだとか(寄寓にも僕も1ヶ月前におおたに行ったばかり)。そのときは、彼はまだ寿司を食べることがなく、寿司屋に行っても、寿司を食べる友人の隣で、ビーフばかりを食べていたそうです。1年くらい経ってから、好奇心から、試しに友人がつまんでいる寿司を食べてみたら、これが旨い!とはまったらしい。寿司のグローバル化もココまで進んでいるんですね。さて、多国籍軍寿司食いねぇストーリーはここまでにして、寿司サムの話でも。 ベイエリアに寿司屋は数多くあれ、この店の人気と評価は様々な意味で群を抜いてると思います。毎日のように店頭には行列が出来ていて、22時の閉店までほぼ客席は埋まっていますから。ベイエリア広しと言えど、ここまで混雑している寿司屋は他には無いのではないでしょうか。全般に値段も良心的で、そろえてある寿司ネタも多く、万人受けする店であることは間違いありません。客が多いということはそれだけネタの回転も速く、新鮮なものが食べられるし、ネタのロスの割合も少ないから値段が抑えられるのでしょう。 ただ、店のつくりはチープで、始終混雑しているから、落ち着いて食事するのには向いていません。ムーディなデートには向きませんし、接待にもあまり向いていないでしょうね。皿もプラスチックだし、テーブルにつくと、山盛りの練りワサビがボンッと出されたりしますから。 ちょいと変わった視点から、この店が素晴らしいと思える点をひとつ紹介しますね。 あちこちの和食レストランを食べ歩いて、その店のマスターと仲良くなると、和食レストランどおしのつながりというか、派閥(と言うほど大げさじゃないが)みたいなものが見えてきます。基本的には、どこも競合している訳で仲が良いケースは少ないのですが、この寿司サムだけは例外。どの店からも、一目置かれる存在となっていて、今まで寿司サムのことを悪く言う店は聞いたことがありません。これだけ人気店になっているのだから、認めざるを得ないのでしょうけれど、どうも寿司サムのマスターの人柄なんかも皆から好かれているようです。 あえて、この店の僕なりの難点を挙げるなら、置いてある日本酒の種類が少なく、あっても値段が高いのが難点ですかね。ただ、店の雰囲気からすると、長居をして寿司を楽しむというよりは、ちゃっちゃっと安く早く食べる店といった雰囲気だから、店の方針としてはそれで良いのでしょうけれど。 この店のお勧めは、やはりお任せ寿司でしょう。ここのお任せ寿司はすべて寿司にタレがかかっていて、醤油をつける必要はありません。上の写真はどちらもお任せ寿司のもので、この日は10カンで$38でした(多国籍軍で行った翌日にどうしてもお任せが食べたくなって2日連続で店に行ったのでした)。お任せにするとそれほど割安感はないような気もしますが(笑)。 ところで、この店の店名なんですが、チトややこしいんです。江戸又(えどまた)が本当の名前だと思われるのですが、その名称で呼ぶ人はまずいません。みんな寿司サムと呼んでいます。このサムという名前は、この店のオーナー兼寿司シェフ「おさむ」さんから、きています(「お」を除いて、サムとなった)。 もうひとつ、個人的なことながら、この店とは奇遇な縁があるんです。以前、福岡で立ち寄った寿司屋の板さんがかつて寿司サムで働いていた人だったことがあるんです。この話には、書かれていない出来事があります。もう時効ということで書かせて貰いますと…(まずは、こちらを読んから先を読んでね)。 このひょうたん寿司で食事をしている最中のこと。僕の隣に一人の男性客がやってきたんです。その客は、すごく親しげにかつて寿司サムで働いていた板さんに話をしているので、友人なのだろうと思っていたら、板さんがその方を紹介してくれました。 なんとびっくりしたことに、その方、現在も寿司サムで寿司を握っている寿司シェフでした(今日も寿司は彼に握ってもらった)。彼にしてみれば、昔の同僚に会いに遊びに来た訳ですが、まさか隣にサンマテオからやってきた客がいるなんて… すごい偶然ですよね。それ以来、寿司サムに行くたびにその話を振られます(笑)。Sushi Sam's 江戸又218 E.3rd Ave. San Mateo, CA94401-4015 650-344-0888

投稿者: Franklin@Filbert 投稿日時: 2007年7月31日(火) 11:03