これは多分(笑)企業機密ではないと思うので書きますが、うちの会社ではABPというキーワードがあります。世の中一般のことなのかどうかは知りません。これはAggressive But Possibleの略で、「かなり無謀っぽいけれども可能性はある」といった感じの言葉です。プロジェクトのスケジュールを考えるときに、あらゆることが理想的に進み、最短時間で次のゴールが達成される場合のXデーを予測するときに使われます。そのプロジェクトにおける物理的に可能な最短時間みたいな感じです。常にこれを目指しましょうというわけす。もちろん研究というのは予測できないことばかりなので、そういうものを予想するのはとても難しいのですが、それでも会社を経営する立場からは、なんらかの方法でゴールとそこに至るプランを示さなければなりません。ひとつのプロジェクトといっても、そこにはいくつもの要素があり、それぞれがうまくいって初めてゴールが達成できます。それらのひとつひとつを精査してプランを立てるのですが、どこが律速となるかを見極め、無駄を極力排除し、かつ適切なバッファーも組み込み、トータルの所要時間を最小にするのが、いわゆるプロジェクトマネージメントの基本となります。律速になる部分をクリティカルパスと呼んだりします。それをつなげたものがクリティカルチェーンと、ざっくり言えばそういうものになります。このあたりがわかれば、プロジェクトマネージャーはその時々でどこに注目すればよいかがわかるようになるのです。この手法を徹底することで、今までのところはうまくいってきています。研究を研究者だけに任せておくと、もっともっとの繰り返しになって、最適化もエンドレスになりがちですから、ビジネス的判断も必要になりますし、実際には早い段階からそういう仕組みを作って研究とビジネスの両方をバランスすることが重要なわけです。ABP、現場の人間にとっても大きなプレッシャーとなるものではありますが、経営側からの視点を持つことでその重要性も理解できますし、そうすれば何とかして達成しようというモチベーションにもなり得ます。それを個人レベルに落とし込む際にはさらに、自分の人生の中でどこに重きを置くかということにもなるわけですけど(笑)。
投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年11月23日(月) 23:54- 参照(186)
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