In the Pipeline のDerekがブログで紹介している自身のコラムによると、PfizerにはWyethの買収前、900名のケミストがいたそうだ。そこにWyethの350名が加わったわけだが、合併後のケミスト総数が1250のまま行くと考えていた人はさすがにいない。1000名前後に落ち着くのではというのが大方の予想だったようだが、ふたを開けてみれば何と850名に削減なのだとか。つまり合併前のPfizer単体の時よりも少なくなるということ!今年はJ&Jも大規模なレイオフを発表しているし、Schering Ploughを吸収して先日新たにスタートしたMerckでも同様なことは起こると予想される。さらにこれまでは、レイオフといえばPh.D.の中間層が主に対象となって、ベンチワークの主力であるBSやMSのケミスト(RA)は、人件費が低いことと現場の実働部隊であることから比較的安全とされてきた。しかし現在、こういった仕事の多くがさらに人件費が安い中国のCRO(Contract Research Organizatioon)にどんどんアウトソースされていることもあり、この層もレイオフの主なターゲットになっているのだとか。Pfizerでは以前から、drug designerとdrug producerを分離する方針を打ち出していた。Ph.D.はオフィスで新しい化合物のデザインだけし(作るべき化学構造を考え)、ベンチワーカーは言われた化合物をラボでひたすら作ると。その分離が社内の話ではなく、大陸をまたいだものになろうとしているのだそうだ。うちのようなスタートアップは、本体を最小限にして、実務はCROを使いまくるという基本スタンスでやってきているけど、メガファーマもそういう形になりつつあるということのようである。アウトソース先としては中国やインドとよく言われるけれど、メディシナルケミストリーの業界では圧倒的に中国だと思う。中国のCRO大手であるWuXiやChemPartnerあたりは、世界の製薬会社がどんな化合物を作っているかをどの欧米の大手よりもよく知っているということだ。私には読めないが、WuXiのウェブサイトは、中国語版と英語版ではかなりトーンが違っているそうで、中国語では医薬品開発のエンタープライズ企業として相当強気で野心的な内容になっているのだとか。一方で上海や北京周辺では、この数年の間にわれもわれもとCROを立ち上げた結果、コストとクオリティの両面で競争も非常に激しくなっている。先日もうちが取引のあるCROをあちこち回ってきた同僚によれば、初期の設備投資が相当必要なこともあり、利益が出ていればいい方で、潤っていると言えるのはほんのひとにぎりというのが実態でもあるようだ。でもこの流れが続いていけば、CROも成長を続け、世界の低分子ドラッグディスカバリーの実務作業はほとんど中国で行われるということになるかも?

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年11月11日(水) 21:25