さて、昨日は「シリコンバレーは来ないと享受できないメリットが沢山ある」ことについて書いたのだが、今日は後編で、「来なくてもわかることが沢山ある」。インターネットも発達、腐って発酵して香しくなるほど情報がオンラインにあり、しかもTwitterやらチャットやらビデオコンファレンスやら、リアルタイムの情報まで入手できて、さらにはSNSで世界の人々と人間関係まで構築できるという今日この頃。本当に近所にいることに意味があるのか?結論から言うと、「最後はやっぱり会って話せる環境がモノを言うが、しかしかなりのところまではオンラインでイケる」。「シリコンバレー発世界に羽ばたくインターネット事業を立ち上げたい。ついては、シリコンバレーに住めばシリコンバレーがわかるはずだから、まずは移り住んでからどういう事業を起業するか考える」「シリコンバレーの会社で働きたいが、まずはシリコンバレーに住めばシリコンバレーがわかるはずだから、まずは住み着いて職探し」という類いのことをいう方に時々会うのだが、うーむ、と思うのであった。(特に後者はビザもないのでまずあり得ないのではあるが・・・・)。聞いてみると、日本語で紹介されている情報以外全然知らない、という状態のことがほとんど。冒頭で書いた通り、オンラインに情報は莫大にある。特にインターネット関係ともなれば、どんな会社が起こっているか、どのベンチャーキャピタルがどのベンチャーに投資しているか、どんなサービスが人気か、どんな技術がトレンドか、などなど本当に目が痛くなるくらい情報が溢れている。まずはそれをフォローするだけで、少なくともよさげな起業のアイデアを作るくらいまでは行けるのではなかろうか。もちろん、それをどうブラッシュアップして行くか、どうやって事業を大きくするか、というところでは昨日書いたような理由でシリコンバレーにいる意味は多々出てくると思うのだが。逆に、シリコンバレーに住んだだけでは、中々シリコンバレーのことなどわからない。インサイダーのネットワークに入るためには、自分も相手に与えるものがないといけないのは世界共通。「まずは勉強しにきました」という状態だとかなり厳しい。(なお、「何も知りません。まずは勉強しにきました」が大いに奨励されるのが留学。学校で学ぶことのみならず、他の学生も似たような境遇にあったり、そうでなくともせっかくの学生生活ではなるべくたくさんの人と知り合ってみようという人も多い。なので、社会勉強的にも全くゼロからでOK。)いばらの道を行くのが好き、だから当たって砕けろでまずシリコンバレーに住んでみる、という方を止めはしないが。ではあるが、日本に居ながらにしてまずはインサイダー風知識を空気のように呼吸してみたい方には:Techcrunch: 言わずと知れた。。。VentureBeat:ゴミ記事が少ないと思うValleywag:「ベンチャーゴシップサイト」というシリコンバレーにしかなさそうなものSilicon Alley Insider:ニューヨークのサイトだが、まじめに旧来メディア的深堀りをしている他にもGigaOMとかMashableとかいろいろありますが。全部読むのも大変なので、RSSでタイトルだけ眺めて面白そうなのだけ読んでも良いし、一つだけしっかり読んでも良いと思う。(一つだけ、の場合ValleyWagにするとちょっと偏るが、それ以外はどれでもお好みで)。あと、情報収集ではなく、英語そのものも「アメリカに住めば自然と上手くなる」と思っている人も多いのだが、大人になってからだとそうは問屋がおろさない。いつまでも片言のまま10年以上住んでいる人も沢山います。日本のドラマを見て、日本の本や雑誌やサイトを読んで、日本人とだけつき合って、、、という「出島状態」でいつまでも過ごせてしまうので。その一方で、気合いさえあれば、日本にいても、かなりの英語力までは行けるはず。読む方を上記でせっせと慣らすのに加え、聞く方のブラッシュアップ用にはこんな英語のpodcast, videoサイトがある。(聞けさえすれば、話す方がつたなくてもそれなりに会話は成立する)。Venture Voice : アントレプレナーインタビューのPodcast。スバラシイ顔ぶれIT Conversations : IT系インタビュー、セミナー等々が大量にあるPodcast。TED : シリコンバレーからはちょっと遠くなるが知的興奮に満ちた講演のビデオの山。あまりに珠玉で、これを見てるだけで人生が終わってしまう懸念もあるとかないとか。Bill Gatesのもある。 (TED=Technology, Entertainment, Design)ついでに、住宅事情、求人事情からデート事情までなんでも掲示板のCraigslistもちらりと覗くと、臨場感が増すかも。ローカルの人たちの中には仕事から彼女から車から友達から、全てをCraigslistで調達している人もいる。***とはいうものの、シリコンバレーに住む効用としては、「せっかく海を越して引っ越してきたのに全然インサイダー情報も入って来ないし英語も上手くならん。まずい!」と背水の陣で気合いが入る、というのは大いにあるかもしれませんが。本当は来なくてもわかるんですけどね。(ちなみに、シリコンバレーに長く住んでる他の日本人の人たちで「来なくてもわかるから」という私の意見に同意する人には会ったことがない。なので、非常に局地的な意見であることはご理解あれ。でも、今既に根を下ろしている人たちが来た頃と、今とでは、インターネット(とインターネット上のコンテンツ)の充実ぶりが全然違う、と私は思うので、「来なくてもかなりわかる」という意見を強硬に持っているのでありました。)参照:Economist.com "The Value of Spillovers"But it appears that communications technology is, so far at least, acomplement to rather than a substitute for face-to-face contact.Technology has enabled blogging, and it helps bloggers to know wheretheir blogging colleagues are. That information at hand, bloggers thenco-locate in coffee shops and bars, where they hash out and improvetheir arguments, eliminating wasteful posts and generating newpublishable material. What works for blogging works for otherknowledge-based industries as well. We may not, as economists, have afirm grasp on the mechanics of such spillovers, but we can be surethey're constantly functioning--and energising many centre cities inthe process.

投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年3月10日(火) 21:42