JTPAシリコンバレーツアーの申し込み締め切りが迫っているが、前回のツアーの反省会の時にも少し出た話。

「アメリカで働きたい場合、どういう経路が一番良いか?」
渡辺千賀さんのブログでは「留学してそのまま就職が一番確度が高い」とある。確かにそのとおりだと思う。特にソフトウェアエンジニアの場合はそうだ。理由は2つ。

1つはビザ。アメリカで外国人が労働するにはビザが必要で、そのビザをいきなり取得するのはかなり難しい。特に最近は非常に難しくなっている。まず、4月に募集が終わってしまう。応募して通っても、10月になるまで働き始めることが出来ないので、会社としては採用決定から6ヶ月待たないといけない。しかも会社が高い費用を出さなければいけない。何のコネ(国会議員の叔父さんとかではなく、自分の実力を高く評価する知り合いの強い推薦とか)もない、つまり仕事能力に不確定要素がある知らない人をこんな高待遇で迎えるケースはあまり無い。

もう1つは英語能力。職を得るには、面接を通らないといけない。つまり、英語で挨拶をして自己紹介を出来ればOKというわけではない。普通のスピードの英語で出される技術的な質問に、意味が分かる英語で答えないといけない。子供の頃に海外在住経験があるとか、英語オタクで物凄い時間を英語の勉強に費やしましたとかいう人でもない限り、日本で博士号まで取っても、日本で実務経験を積んでも、面接を通れるレベルには達することは簡単ではない。英語が下手だと頭が悪く見えてしまうのは避けがたい真実なので、その分を埋め合わせるぐらい技術面で余計に秀でている必要がある。

実は、海外駐在で実務経験を積んでも、ソフトウェアエンジニアならば英語の上達は簡単ではないという話もある。僕は3年駐在した後に日本に戻り、また3年後に社内公募で移籍したわけだが、最初の面接官に言われた。
「君の経歴を見ると英語に難ありかと思ったけど、結構出来てるね。これなら英語の問題はないと言っていいね」
まあ、実は職を得たあとに結構苦労したわけだけど、しばらく経ってからその面接官(隣のチームのマネージャだった)に聞いてみたことがある。
「3年以上アメリカで働いた経験で、英語が出来るとは思わなかったわけ?」
「今まで何人か日本人と働いたことあるけど、アメリカで働いていても英語自体はそんなに良くなかったね。エンジニアって、あまり話さないで仕事が出来るからかな。アメリカの学校を出た日本人ならば、まず問題ないんだけど」
僕の実感でも、留学経験者とそうでない人たちの間には英語能力の違いは結構あると思う。

そういうわけである。留学すれば、日本にいるときと同じぐらいの努力で、遥かに英語能力の向上が図れる(努力しなければ向上しないだろうけど)。毎日強制的に英語で授業を聞くのはかなり効くらしい。さらに、卒業後1年間はプラクティカルトレーニングという名前で、ビザなしで働くことが出来る。その間に自分が役に立つことを証明して、会社にビザを申請してもらえるという道が開ける。自分に実力がある場合、この道が一番確実である。但し、ビザのタイミングを考えると12月ごろに卒業するのが一番良い。間違っても5月に卒業してはいけない。

アメリカ企業の日本法人に就職して海外駐在・移籍を狙うという手もある。しかし、実際にその経路を通った自分に言わせると、あまりお勧めできない。この経路の成功・不成功は、運によるところが非常に大きいからだ。実力がいくらあっても、会社や自分の配属先の方針によって駐在が叶わないことがある。叶わないことの方がずっと多いだろう。ただし、この経路を通れれば、他の経路に比べて少ない苦労で目的が達成できるのは大きな魅力なので、高確率で駐在させてくれる会社を探すという手はある。

つまり、僕は比較的大きな運に乗っかって今ここにいるのだ。運で得た駐在を踏み台にして、移籍するときにちょっと自分の行動力を使った感じ。「そこまでガツガツと移住を求める気は無いけど、アメリカで働けると嬉しいかも」ぐらいの人はこの道を目指してみるのもいいのかも。

投稿者: admin 投稿日時: 2007年12月12日(水) 00:39