僕が尊敬する方のお一人から新年のご挨拶を頂いた際に東京大学福島准教授の平成19年度東京大学入学式(学部)祝辞をご紹介頂いた

福島准教授のことを初めて知った。そして高校生の時に全盲ろう者になったということも知った。スピーチを読み終わって福島准教授は本当の挑戦者だと思った

僕がもし9歳で全盲になり、高校生で聴覚を失って、全盲ろう者になったらどうだっただろう、と考えた。次から次へと立ちはだかる筆舌しがたい困難に、福島准教授のように勇敢に立ち向かうことができただろうか。

想像を絶する困難に、想像すらできなかった

福島准教授は「指点字という指先で伝えられる言葉の力によって生きるエネルギーを与えてもらいました」と仰った。指点字がお母様の発明とのこと、お母様も本当の挑戦者だと思った。

現状に負けず、困難に屈しない屈強な精神
常に挑戦をし、最後まで戦い抜く

そういう母と息子の姿を見た

*  *  *  *  *

全盲ろう者になり大学進学を悩んでいた時、高校時代の担任の先生のアドバイスはこうだった。「前例がないなら君がチャレンジして前例になればいいじゃないか」

こういう素晴らしいアドバイスをして下さるのは、福島准教授が歯を食いしばるような挑戦の日々を、そして真剣な日々を送っていたからこそだ、と思うと同時に、そういう素晴らしい方に囲まれて送る人生というのは、人生を更に豊かにしてくれるものだと思う。

僕はシリコンバレーでたくさんの尊敬できる方との出会いに恵まれた。
・転職の際に色々なアドバイスを頂いた方
・仕事に行き詰ると、いつも相談に乗って下さる方
・人生やゴールについて色々と相談に乗って下さる方

業界や年齢層も幅広い方々とお付き合い頂き、節目節目に自分の人生を決定づけるような
貴重なアドバイスを頂いてきた。そして助けて頂いた。そういう方々のお陰で今の自分がある。
感謝の気持ちで一杯とともに早く恩返ししたいと思う。

*  *  *  *  *

福島准教授は続ける。「そしてもう一つは、どのような困難な状況にあっても、可能性がゼロになるということはない、チャレンジし、現状を変革していく可能性は必ずある」

僕も同じ心情で物事に取り組んできたが、福島准教授のそれとは次元がはるかに違った。福島准教授は実際にかなり困難な状況にご自身が直面し、そして挑戦して見事に打ち破ってきたご自身の言葉だけあって、とても重みのある言葉だった。

*  *  *  *  *

僕にとっての挑戦とは何かを整理してみた

「挑戦」とは、他者ではなく自分との戦いである。「挑戦」とは、夢をかなえるために着実な準備をし、努力を継続して成功を掴み取っていくことである。「成功」とは、地位や名声や権力ではなく、自分の夢を実現することであり、そして夢を実現する過程そのものである。

こう思う。

*  *  *  *  *

福島准教授は更に続ける。「挑戦とは、常識的な意味での社会的な名誉やステータスを得ることだけがその目標なのではなく、自らがしっかりと生きていくこと、そして自分と他者が共に生きていくことを支えていく営み自体の中に、本当に困難な部分があり、その営みこそが最も重要な挑戦なのだと思います」

とても深く、そしてとてつもなく本質を仰っておられると感じた。この意味を深く理解できるよう考えていきたいと思う。

*  *  *  *  *

僕が福島准教授の東京大学入学式祝辞を読んで魂を揺さぶられたのは、9歳という若さから激動の挑戦を続け、全てを克服されてきたこと。また、周囲とのコミュニケーションや接点を本当に大切にしながら挑戦を続けてこられてきたこと。そして、ご自身の人生の経験から「挑戦」の本質を誰よりも深く見極められていらっしゃること。そして何よりも、今でも挑戦の手を緩めていないこと。

*  *  *  *  *

僕にますます挑戦する勇気とエネルギーを与えてくれた福島准教授と、一年の計が決まる元旦にその素晴らしいスピーチを共有して下さった方に感謝したい。

投稿者: シリコンバレー発 脱藩組の挑戦 投稿日時: 2008年1月5日(土) 13:12