精神的なテクノストレスはほとんど無縁であった。あんなのはコンピュータの仕組みが分からないからだろう。仕組みが分かってれば、うまく動かない時にも原因を探ったり、直したり、あるいは誰かに問い合わせをしたりと適当なことができる。しかし原因の分からないトラブルで、自分のやりたいことができない、仕事に支障が出るとなると、それが精神的なストレスになる。そういうものだと思っていた。しかし、筋肉の方はそうはいかない。9月中旬(正確な日付は忘れてしまった)のある朝、左手の小指が痺れているのに気づいた。一応指は動かせる。こういう経験は初めてではない。怪我をした時、それが擦り傷や小さな切り傷程度のものでも、神経が麻痺してヒジから先の感覚がなくなったりすることは時々あった。しかしそれはものの2時間もすれば治るようなものだった。ところが今回は怪我をしていない。しかも1日経っても治らない。次の日には薬指も同じ症状になった。指を動かさないでいると、凍ったように指先が冷たくなる感覚がする。あわてて指を曲げ伸ばしすると元に戻る。これはマズイ、ということで病院に行くことに決めた。外見は問題ないので、まず症状を説明しなければならない。麻痺、痺れにはParalyze、Numbという単語がある。どちらも他動詞なので、

  • My finger is paralyzed (numbed).

と言う。Paralyzedの方が強く、麻痺して動かせないような時に使う。今回のように痺れはあるが動かせる場合にはNumbedと言う。かかりつけのCamino Medical Groupという地元の大病院に行くことにした。こちらではGP(General Practitioner)という患者をまず見る医者がいる。私の担当医は内科が専門らしいのだが、とりあえず最初は彼女のところに行かなければならない。右手と左手の同じ場所を叩いてみたり、針山みたいなのでつついてみたり、つまんでみたりして違いを調べる。ここで分かったことは、薬指と小指の神経は元は同じで腕の方から流れている。他3本の指は別の神経から分岐している。そのため、この2本の指が同時に痺れるというのは、ごく自然なことなのだそうだ。そして原因はComputer Work、すなわち1日中PCに向かって仕事をしているためだろう、と診断された。傷から神経麻痺が起こる経験をしていたものだから、「どこにも怪我してないのに」と、怪我が原因とばかり思っていた。「クビにならない程度でキーボードの仕事を減らしなさい」といわれ、薬を処方してもらった。それから会社に戻ったのだが、そこから騒ぎが大きくなってしまった。(続く)

投稿者: Silicon Valley ... 投稿日時: 2007年10月10日(水) 23:08