刺盛某カイロプラクテックの日本人ドクターが推奨するオレンジカウンティで押さえておかないと行けない寿司屋の一つが嘉千(かせん)。レビューサイトによると太巻きが美味しいとある。うーん、寿司屋に言って太巻きなんてあまり食べたくないんだけど。また、頑固寿司職人と、愛想の悪いおばちゃん店員がいるとかで、金曜の夜7時半なんて時間の寿司カウンターを予約したいなんて言ったら、張り倒されるんじゃないかと思いつつも、恐る恐る予約の電話を入れてみる。電話を出たのは年配の男性。でも、非常に物腰柔らかで丁寧な話し方。とても好印象。予約も全く問題なく取れました。しかし、金曜の夜にカウンターの予約が取れてしまうってのも、行く価値あるの?と逆に思ってしまったり…マグロのあぶりお店の内装は純日本の寿司屋のつくり。それもちょいと高級感がある寿司屋。ドアをあけて中に入ると、右手に寿司カウンターがあり、左手にはテーブル席。奥にはタタミが敷かれた堀ごたつスタイルの小上がりまで。店内の壁には全くメニューがない。英語のメニューがない店ってのは多々あるけれど、この店には寿司屋にありがちな寿司ネタが書かれた短冊すらない。寿司カウンター奥には2人の寿司職人。どちらもネクタイを締め、その上に白い調理服に調理帽をかぶっている。見た感じ二人とも50代か60代だろうか、「物心ついた時から寿司握ってました」と言われても違和感がないオーラが漂う。これぞまさに寿司屋という寿司屋。ウエイトレスはみな若く、おばちゃんはこの日はいなかった。ウエイトレスも「味の民芸」なんかで見るような和服姿。サンマウエイトレスに案内されてカウンター席へ。カウンターは我々2名が座って満席となるが、テーブル席には客は誰もいない。まずは冷たいお絞りが出され、ゲタが寿司カウンターに置かれる。そして、ドリンクメニューが出される。ここで向かいの寿司職人から、「いらっしゃいませ。今日はどのようにいたしましょう?」との言葉が。はて、まだ品書きすら見ていないのにどうしたものだろうかと思いつつも、相方と相談して、お任せにすることに。適当につまんでから寿司へと流れることに。まず出されたのが、刺盛(一番上の写真)。例によって店内が暗く僕の貧弱デジカメでは綺麗に撮れていないけれど、実物は輝くように鮮やかな色彩を放ち、食べるのが惜しいほどに見た目の美しさに圧倒されました。刺身が鮮やかなのはもちろんだけれど、ツマも細く透明度も高くて光を反射して宝石のように輝いていたのが印象的(味は普通のツマでしたが)。カイはコリコリ、白身はプリプリ、トロとウニはとろけまくり。超美味しい~。この感動は久々。以前、某有名寿司職人がいた頃の、サンフランシスコのAnzuの寿司カウンターでお任せを食べたときの刺身以来の感動。そして、刺盛とあわせてでてきた小鉢がまた感動。アンコウのキモと身を混ぜ合わせた一品で、身のプリプリ感とキモの甘さがとてもよくマッチしてました。あぁ~、思い出しただけでヨダレが。じゅる。続いて、マグロのあぶり(2枚目の写真)。一見するとハンバーグみたいでしたが、これまた蕩けるやわらかさ。ほんと、口に入れても、これがマグロとは思えない。脂の乗った特上和牛を食べているかのような感覚。甘エビ(日本でいうところのボタンエビ)そして、寿司へと移ります。寿司もまたどれもこれも美味しい! 幸せ~。シャリに混ぜてある酢の具合もちょうど良くて、この寿司屋、日本でも十分やっていけそうな美味しさでした。寿司はどれもこれもいちいち説明したいほどに美味しかったのだけれども、その中でも特筆すべきは、最後のネタのカンピョウ巻。まさか、この年になってカンピョウ巻に感動させられるとは思いもしませんでした。やや太目のカンピョウ巻は、厚めのカンピョウに施された味付けがとてもしっかりしていました。上品な甘さがあって、驚きの美味さ。あぁ~、カンピョウ巻だけを食べてもいいかもって思えるほどの美味さでした。これには、なるほど、Webのレビューで太巻きがお勧めなのも納得。タマゴもとても上品にふんわりと仕上がっていましたから、こういった仕込みをしっかりやっているのでしょう。我々を担当してくれた寿司職人さんは、とても物腰柔らかく愉快な方で、とても和やかに食事することができました。カンピョウの美味しさを伝えたところ、「うちは大将(もう一方の寿司職人)が仕込みをしっかりやっていますから」とのこと。太巻きを土産に持ち帰る方も多いようですが、その土産もちゃんと折り詰めに入れられているのにはびっくりしました。アメリカだと持ち帰りとなれば白いボックスと相場が決まっていますが、ここは違います。折り詰めに綺麗に太巻きが並べられ、その上に店名が入った透明なシートがかぶせられていました。よくサザエさんで土産に寿司を持って帰るシーンがありますが、まさにあんな感じです。嘉千寿司は文句なしの美味さで、自分の評価ではIkko以来の感動。Ikkoはフレンチのシェフがはじめた寿司屋なので、革新的な寿司が楽しめ、一方の嘉千は純和風の保守的な寿司が楽しめます。どちらも、自分が訪れたオレンジ郡界隈の寿司屋では、この2店が最高の寿司屋です。ただ…ちょいと気になったのは、金曜日の夜だというのにお店に客が少ない店。我々が入店したときは、カウンターこそ満席だったけれど、テーブル席は閑古鳥。我々が寿司を食べ始めたあたりで、カウンターにいた客も帰り、なんと店内に客は我々二人だけという状態。こうなると、こちらもやや緊張。だって、ウエイトレス2名、寿司職人2名いて、客は我々2名のみなのですから。まだ我々の寿司を握ってくれているときは良かったのですが、デザートが出されて、寿司職人が何もすることがなくなってからがやや落ち着かなくなってしまいました。と、いうのも、やることの無くなった寿司職人なのに、二人とも寿司カウンターに立ち、やや前傾して両手をまな板にのせ、「いつでも注文承ります!」みたいな格好をしているのです。デザート食べている間、彼らはその格好のまま。もちろん、会話しようと思えばできるのだけれど、話すことも無くなってしまって…。店内もシーンとしているし、そうなると我々が会話するのもためらわれてしまったり。ちなみに、デザートは、あずきがのせられたパンナコッタ(と思うがよく分からん)が出たのですが、このあずきの甘さも上品で感動ものでした。寿司屋にしておくには勿体無いくらいの美味しさでした。嘉千 Kasen9039 Garfield Av ,Fountain Valley, CA 92708 714-963-8769

投稿者: Franklin@Filbert 投稿日時: 2007年10月7日(日) 11:51