先週末、突然かみさんが「ブドウ狩に行こう!」と言い出した。なんでも、ここから1時間ちょっと東にドライブしたRiponという街でブドウ狩ができるという情報をネットで見つけたのだそうだ。かみさんは早速その農園に電話をして、営業時間とまだブドウ狩ができるのかを確認していた。

ベイエリアで果物狩といえばBrentwoodが有名だが、Ripon界隈にU-Pick果樹園があったとは知らなかった。それもブドウ狩だなんて。Brentwoodでもブドウ狩は見たことがない。子供の頃に山梨でブドウ園に行って以来だな、なんて思いつつ車を走らせる。カリフォルニアはワインの一大産地だけあって、ブドウ畑は珍しくないけれど、それらはワイン加工用のブドウ。食用目的のブドウ畑は見たことがないかも知れない。

目的地は、120号線をYosemite方面に向かって東進、99号線を過ぎると120号線の高速区間は終わる。一般道となった120号線を進み、信号のない十字路を右に曲がった先が目的地らしい。ナビが「到着しました」とサインを出した地点には、畑に隠れるようにしてぽつんと一軒の民家(それもかなり年季の入った)があるだけ。確かに家の前には農園との小さな看板が出ているし、野菜の無人販売のような棚も置かれていた。

ただ、誰も人がいない。お客もいなければ、店員もいない。通りを行き交う車も皆無。空は真っ青で、何の音も聞こえない。カリフォルニアの太陽がジリジリと照りつける。

くたびれた無人販売棚は結構な大きさだが商品は2,3品しか並んでいない。プラムか何かの果樹が一カゴと、もう何年もそこに置いてあるのではと思わせるような瓶入りジャムが2つ、アーモンドが一袋。

かみさんが確認のため農園に電話をすると、すぐ行くとの返答があった。

興味深いことに、足元の土壌はビーチで見られるような極めて目の細かい砂。以前、この近くにあるCaswell州立公園に行って知ったのだが、この辺一帯はStanislaus川が運んできた砂で形成されているのだそう。この州立公園はかつてのセントラルバレーの姿をそのまま保存しているのだが、驚いたことにそこはジャングルのような森。木々はそれほど高くないが、ツルや下草が伸びていて昼間でも薄暗いほど。かつてこの界隈はこのように深い森だったが、入植者たちが森を切り開いて今では広大な農園となったのだそう。

そんなことを考えているうちに、家の中から白人男性が一人現れた。見た目は40台半ば。穴の開いた薄汚れた服を着ているのは農作業に従事しているからだろう。バンダナで口を覆っていたが、笑顔で僕たち4人を出迎えてくれた。

話好きな様子で、かみさんとぴろ子に笑顔でいろいろと話しかけていたが、僕たちが日本人とわかると、ぴろ子に「日本のアニメは何が好き?」と聞いてきた。ぴろ子は日本のアニメをネットで時折見ているが、どう答えて良いか分からなかったのだろう、返答に窮してしまう。すると、その男性が、「自分は日本のアニメが好きでよく見ている。ナルトやワンピースなどを見たよ」と言ってきた。

日本のアニメがアメリカでも人気があるのはよく知られているが、農村部の、それも40台の男性にまで人気を得ているとは正直驚いた。

彼は、まずりんご狩を勧めてくれた。りんご畑は少し離れているからと我々を小型トラクターに載せてりんご畑まで連れて行ってくれた。到着した先は、Brentwoodの手入れされた大型果樹園のU-Pickを見慣れた僕にはちょっと衝撃だった。というのも、りんごの木は数本ある程度で果樹園というよりは個人宅の庭先りんごの木があるといった感じ。りんごの実はどれも小さくまだグリーンだ。赤い実は皆無だった。かみさんが、「これはグリーンアップルかしら?」と聞いたところ、なんとフジだとの回答が。こんな青いフジは見たことがないが、男はひとつ実をもいで、自分の服で拭いて、それをかみさんに差し出し、「食べてごらん」と。が、かみさん、そのりんごを僕に渡す。こんなコロナ全盛の時期に、手渡しで食べ物を渡すことすら躊躇されるのに、自分の薄汚れた服で拭かれてもねぇ‥。

仕方ない、ここは食べるしかないよねぇ、と一口食べてみる。が、見た目とは裏腹にそのりんごは美味かった。

それを知ったかみさんと子供達は安心したのか、りんご狩をはじめる。

その間、僕はその男と雑談するが、話題はアニメ談義に。「最近、何のアニメを見た?」と聞かれたので、NETFLIXで比較的最近見た、約束のネバーランドやヴァイオレット・エヴァーグリーンの名前をあげる。彼もNETFLIXでアニメを見ていると言っていたので会話が繋がることを期待していたが、どちらも知らないとのこと。チーン。

りんご狩を終えた我々はトラクターで家に戻る。「ぶどうはどこにあるの?」と男に聞くと、家の裏にあるとの返事。そこで、我々は家の裏に回る。そこにあったのは、ワイナリーで見るような背の低いブドウ畑。と言っても、3列程度しかなく、ほとんど手入れされていない。下草は伸び放題、ブドウのツルや葉も伸び放題。それでもブドウの匂いはするので実が取れることを期待したが、ほとんど実はなく、あっても干からびていたり、腐っている状態。よくこれで「ブドウ狩ができる」と言い切れるものだと唖然。山梨で見たような頭上からブドウが実るブドウ棚を期待していたが、全然違った。

結局、2房ほど食べられそうなのを見つけて、リンゴと共に購入。合計は$9。

正直、Riponまで行った割にはがっかりな内容だったが、子供達はトラクターに乗れたのが嬉しかったと喜んでいたのでまぁ良しとしましょう。

投稿者: Franklin@Filbert 投稿日時: 2020年9月23日(水) 19:35