私は平均すると年に一回程度、風邪をひきます。以前は一晩寝ればだいたい治ったものですが、最近はちょっと時間がかかるようになってきました。熱は一晩で下げられるのですが、咳が残ることが多くなってきたと感じます。
それに加えて今回、初めての体験をしました。味覚と嗅覚を失ってしまったのです。風邪だなと思ってから3日目くらい、熱は引いたものの、咳と鼻詰まりが残っていたタイミングです。食欲は失っていなかったので、冷蔵庫にあるもので適当に食べていましたが、なんだかあまりおいしくない、というか、想定していた味がしない。
酸味と辛味は感じるものの、それ以外の味覚、甘味、塩味、苦味、旨味がほとんど感じられないことに気がつきました。
検索すると、風邪をひいたとき一時的に味覚や嗅覚を失うのはよくあることのようで、ちょっと一安心。実際、2-3日でほぼ回復したのですが、この体験をしている間に、ちょっと考えていました。
多くの人は食べることが好きで、いろいろなおいしいものを食べたい気持ちが強いと思いますが、中には食べることにあまり興味のない人がいます。食事で感動することがなかったり、シリアルとかパンとか特定の野菜とか、毎日同じものを食べ続けても平気、というか、それで何も問題を感じない人たちです。
なぜこの人たちはそれほどまでに、食べることに関心がないのだろう、と思っていたのですが、もしかしたら味覚のレセプターが少ないか、あっても感受性がやや低いのではないか、と思いました。もしも上記のように味覚を大幅に失っていた状態か、それに近い状態がずっと続いているとしたら、「おいしい!」という感動を得ることは難しいと思ったからです。
そう思ってちょっと調べてみると、苦みのレセプターについては遺伝子レベルで個人間に差があること、および舌の上の味蕾(みらい)の数および苦みレセプターの数にも差があることが知られているようです。苦みに対する感受性が異なると、他の味覚にも影響するらしく、それによって味覚の個人差が生じるようです。
すべてが遺伝子やレセプターの発現具合で説明できるわけではないかも知れませんが、いずれにしても食べることにあまり関心がない人に、なんで?と聞いても、おそらく本人にもわからないかも知れないし、気をつけようと思いました。
(写真は本文とは関係ありません)
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