かな~り期間が空いてしまいましたが、以前書いたSleep Studyの後日談です。

前回までのあらすじ…

「夜、寝ているときに呼吸止まっているよ!」とかみさんに言われて、本人はそんな訳ないっ!と思いつつ、スタンフォード病院にてスリープスタディを受けてきたところまでを以下に記しました。
Sleep Study(その1)
Sleep Study(その2)

さて、体中にセンサーをつけてスタンフォード病院に一泊した検査結果を聞きに、その1ヵ月後にスタンフォード病院に行って参りました。

前回と同じ、アフター5はクラブでぶいぶい踊りまくってそうな(すいません、ワタシの勝手なイメージです)若くてちょいとキツそうな中近東系女医さんと、アフリカ系のふとっちょ女医さんの凸凹コンビが僕の担当です。

僕のテスト結果のレポート3枚が渡され、簡潔に結果を伝えてきました。曰く、

僕の睡眠状況は、

シビア

だそうで。

睡眠状況によって、ノーマル、マイルド、シビアの三段階あるようで、僕はシビアに入るそうです。

レポートには時系列に僕の睡眠状態を記録したグラフだとか、ハートビートだとか、さまざまな検査結果が記載されているのですが、結果をひとことで言うなら、僕の場合、RDI(呼吸障害指数)という数値が、40.3/h でして、これが40を越えると、「シビア」とCPAP治療の対象になるようです。

正直、ショックでした…。だって日中に眠くなったりするような自覚症状が何もないのですから。女医さんは、「運転中に突然睡魔に襲われたりしたことはありませんか?」「午後になると頭がぼーっとしたりしませんか?」と聞いてきますが、自分は特にこれといってそういう覚えがないのです。

食い下がって次のようなことを聞いてみました。

「Sleep Study当日はセンサーが体につけられてなかなか眠れなかったのですが、それがRDIを高めてしまっていませんか?」

  → 眠りにくいなら、逆にRDIは低くなります。

「僕はよくお酒飲んで寝るのですが、お酒飲むと一般的にRDIはどうなりますか?」

  → お酒を飲んで寝ると、RDIは高くなる傾向があります。

という訳で、Sleep Studyで出たRDI 40という数値は、普段の睡眠時よりも低い数値な可能性はあれど、高いことはなさそうです。

軽く打ちのめされたフォローアップはあっさり終了し、今後の対応として、睡眠時にマスクをつけて強制的に空気を流し込むCPAP(Continuous positive airway pressure)療法をすることになりました。

CPAPの装置は病院では扱っておらず、それ専門のお店にて購入することになるそうで、病院からは、この界隈でCPAPを扱っている店のリストをもらいました。

翌日、早速、リストの中からSan CarlosにあるSleep Questというお店を選び、電話連絡を入れて状況を伝えました。Sleep Questは、今後の流れについて次のように説明しました。

  1. Sleep QuestがCPAPの問診表を僕に送るので、それに記入してSleep Questに送り返す
  2. Sleep Questが僕の加入する保険会社に連絡して、保険のカバレッジを確認する
  3. 保険会社からの確認が取れ次第、Sleep Questが僕に連絡を入れて、CPAP装置選定のためにSleep Questの店舗に行く日を決める
  4. Sleep Quest店舗に行き、CPAP装置を選ぶ

なんだかんだで時間がかかり、結局、Sleep Questに連絡を入れてから、一ヵ月後にCPAP装置選定のためにSleep Quest店舗を訪問することになりました。

店舗があるのはSan CarlosのSleep QuestはIndustrial Rd.沿いで、一見すると倉庫のような建物の中にありました。

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受付を済ませると、奥の小さな部屋に案内されました。

そこでSleep Questのスタッフに、CPAPの装置と様々なマスクを見せられ、どれにするかと聞かれました。

CPAPの装置は2種類あり、左の黒がResMedという会社のもの、右の白がPhillipsのものでした。

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正直、かさばるような大きな装置をイメージしていたのですが、実際には一昔前のラジオ程度の大きさで、思ったより小型でデザインもなかなか洗練されていてちょっと安心(もっと武骨な物を想像していました)。この装置が、取り付けられたホースを通じて圧力をかけて空気を鼻に送り込んでくるという仕組みです。

マスクは、鼻に取り付けるものと、口と鼻をすっぽりかぶせるものの2種類がありました。

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装置の選択は、どちらでも良かったのですが、値段は両方とも同じで保険がカバーするとのこと。ResMedの方がやや静かとのことなので、RedMedにしました。

透明なプラスチックの部分は取り外せて水を入れられるようになっています。送り込む空気に湿り気を与えることができるのだそうです。加湿器の役割も果たしてくれているなんて素晴らしい!

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この装置、SDカードが入っていて、日々の利用状況や僕の呼吸状況などが記録されるのだそうです。

記録はこの装置で見ることもできます(こんな感じ)
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CPAPがはじまったら、状況確認のため定期的に病院に通うと言われていたので、「病院に行くときは、このSDカードを持って行くのですね?」と聞いたら、その必要はないとのこと。え、でも、それじゃ、僕の状況が分からないじゃないと思ったら、なんと、この装置自体がベライゾンの電話回線を使って定期的に僕の状況をサーバーにアップロードするのだろうです。

ええっ、そんなことできちゃうの?これって現在のITのトレンド、IOT(Internet of Things)でしょうか。

ってことはですよ、僕がこの装置を使わないでいたら、それもバレちゃうし、毎日何時から何時まで寝ているか(CPAPを使っているか)とかすべて分かってしまうのです。

そして、スタンフォードの担当医の他に、Sleep Questの担当者、保険会社、そして、ResMedも僕の情報を見れるそうです(ResMedのWebサイトにログインして、アカウントを作れば、自分で過去の状況を見ることもできます)。

更に驚いたのは、スタンフォードの担当医が、僕の使っているResMedの動作を遠隔コントロールすることもできるのだそう。例えば、空気圧を高くする、低くするといったことができるのだそうです。

なんとも、SF小説に出てくる監視社会みたい。

実際に、一昨日、ResMedからメールが届きまして、「かなりのエアーが漏れているようだけど、ちゃんとマスクはフィットされていますか?」だって。その前日と前々日、寝ている間にマスクが外れてしまっていて、エアがそのまま空気中に放出されていました。CPAPの装置は空気圧を計るセンサーが付けられていて、それが低くなるってことは、マスクが正しくフィットしていないと判断したのでしょう(ちなみに、このメールは定型文書だったので、ResMedの誰かが僕の状況をモニターして親切にメールくれた訳ではなく、エアー漏れと思われる事象が起きたら勝手にメール送るシステムと思われ)。

装置を使わないでいると、保険会社から何か言ってくることもあるようです(特にCPAPの装置をレンタルしている場合にそういうことがあるらしい)。

さて、CPAPを使い出して一週間程度経ちました。

使い始めて、僕は大きくこの装置を勘違いしていたことに気づきました。

当初は、このCPAP装置が一定間隔で強制的に空気を送り込み、それにあわせて自分も呼吸するようになるのかと思っていました。でも、そんなの不可能ですよね。実際使ってみて分かったのは、CPAPは、ホースを通して空気をずっと送り込んでいるだけでした(空気に一定の圧力をかけていることになります)。で、鼻で息を吸うとそのタイミングで鼻から空気がどっと入り気道を広げるため、いびきも押えられるという仕組みのようです。

ちょっとやっかいなのが、呼吸の仕方。CPAPを使う場合、鼻で息を吸い、鼻から息を吐き出す必要があるようです。寝床に入ってCPAPを取り付けてからは、意図的に鼻で呼吸するようにしていますが、果たして寝た後もそれが出来ているのかはよくわかりません。また、口をあけてしまうと、圧力のかかった空気が鼻から入ってそのまま口から逃げてしまいます。実際、装置を付けて口を開けると、鼻から口へ空気が流れていくのが分かります。循環呼吸ってこんな感じなのかな~なんて思いつつ。

CPAPの効果ですが、正直、僕にはこれといって効果があるように感じられないでいます。CPAPの体験談で、「CPAP使うようになってから翌朝頭がすっきりするようになった」とか、「日中のやる気が全然違う!」なんてポジティブな意見を多々目にするので、僕もそうなるのかな~、仕事のパフォーマンスが2倍になったりして…むふふ。と、期待していたのですが、自分にはその効果が全く認識できず。

CPAPのパンフレットのFAQに「旅行に持って行く必要はありますか?」との問いに「CPAPを体験したら、旅行にも進んで持っていきたくなります!」と書かれていましたが、自分はそうは思えないでいます。

中学生の時、はじめてメガネをかけた際、世界はこんなにも明るかったのか!と感動した記憶が鮮明に残っているので、CPAPもそれと同じくらいの感動を与えてくれると期待していたのですが今のところ感動してません。

むしろ、鼻にあてがうピロー(pillow)と呼ばれるパーツによって、鼻が押されて毎朝鼻がひりひりしてしまっています。ピローを押えるバンドを緩くすれば良いのでしょうが、そうすると、ピローが鼻から外れてしまうのですよね。

これがピロー。シリコーン素材で柔らかいものの、長時間鼻に入れられてバンドで押えるので、鼻が痛くなるのが難点。ちがうタイプのマスクに代えるべきか…。もうちょっと様子みて考えます。
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Sleep Questの担当者から「調子どう?」ってメールが来たので、「鼻が痛いからピローをもう一回り小さいのに変えることできない?」って聞いてみたんですが、ピローを小さくするとエアが漏れて圧力掛からなくなるちゃうのよね~と消極的でした。

さて、みなさん気になるであろう今回掛かった費用についてです。

どういう訳かスタンフォードの病院からまだチャージが届いていません(初回訪問、宿泊、フォローアップと3回行っていますが、まだそのいずれもチャージ届かず)。

一方のSleep Questですが、CPAP装置を入手したその日に支払いをしました。

このCPAP装置、それに付ける付属品(マスク、ホース、エアフィルターなどなど)、それにコンサルタント料みたいなものトータルでの請求額(保険なしのオリジナル料金)は

$3200 !!

ですが、保険適用価格でディスカウントされ、Sleep Questからの請求額は $1000 になり、更にその9割が保険会社負担、1割が自己負担のCo-Insuranceなので、僕が自分の財布から払った金額は $100 でした。

アメリカの医療関係の費用って、なんだか露店商の値付けみたいですよね。ふっかけるけど、保険適用ディスカウントで、ぐぐっと落ちるみたいな。本当によく分からんシステムです。

と、まぁ、こんな感じでしばらくCPAP使っての睡眠が続きます。

投稿者: Franklin@Filbert 投稿日時: 2016年5月9日(月) 00:18