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皿洗い
「何でワイが、こんなことせんならんのや」。こんなこと嫁はんのする仕事に決まっているがな。その私の仕事が皿洗いになった。自分でも驚いている。「あの亭主関白の徳さんが」と周りの人はびっくりしている。私の喜界島のおばあちゃんは男は台所に入るなと言っていた。
その言葉を実行し続けてきた男も病気には勝てなかった。
59歳に、病気で倒れて、仕事が出来なくなり、年金生活するようになったら、収入が大工さん時代の4分の1か5分の1に減った。生活するのに精一杯だ。嫁はんが働き出した。それまでは「子供を育てるのが嫁はんの仕事、嫁はんは子どもが高校を卒業するまでは仕事はさせない」を通してきた。
病気が人生を変えた。私が家におり、嫁はんが外に仕事に出で、家に帰ってくる。今までのまったく逆になった。嫁はんが仕事から帰った時が一番惨めな思いをする。帰ってくる頃、仕事らしきことをしていれば、惨めな思いも小さいが、テレビを見ていた時などは惨めになる。自分の身体も心も、あの小さな嫁はんより小さくなっているように感じる。
何かをやるフリをしなければならない。そんな時思いついたのが皿洗いである。2年前に日本に帰って、従兄弟の息子夫婦の生活に驚いた。嫁はんが料理をつくっている、その傍で旦那が皿を洗っている。「台所の仕事は嫁はんの仕事でなないのか」と聞いたら、「男も女も平等です」と二人から、喜界島のオメトおばあさんが驚くような言葉が返ってきた。今の日本の若者はアメリカと同じように男も女も平等だということ実践していた。従兄弟の息子夫婦のことを思い出しながら、今私は皿洗いに精を出している。
皿洗いをしているうちに、皿を洗うだけではないということがわかってきた。
ステンレス製のシンクも、皿を洗った後に洗わなければならないのである。特にシンクの四隅の脂っこい汚れを拭きとって綺麗にしないと気がすまなくなった。皿を洗い、シンクをピカピカにして、初めて皿洗いが終わるのである。
洗っている時に不意と思う時がある。
思い切り手に力を入れて、3回から4回の速さで重たいハンマーを振り上げ、2x4トゥーバイフォー)に5寸釘を打っていた、ああの大工の時の心意気と、皿を洗う時の心意気の違いである。皿洗いは豆腐を手のひらに載せて運ぶ、あの心境にも似ているようである。皿を洗いながら、自分の手に持っている皿が、5寸釘のようにハンマーで叩かれて、バラバラに割れるのを想像して、おもわず、ヒヤッとする時もあった。
元大工さんが皿洗いに慣れるまでは時間がかかった。 2008年
by フリムン徳さん
プリムン徳さんはエッセイ本「フリムン徳さんの波瀾万丈記」を出版されています。
今日もご訪問有難うございます。 皆様も怪我をしないようにお過ごしください。
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