ここ最近元気がなかった。落ち込んでいた。その原因は何か。自分では理解していたのだが、その状態からなかなか脱却できずにいる自分がいた。アメリカで戦う決意をしてからほぼ一年が経つ。思えば苦悩の連続だった。業界は同じだが、扱う商品が変わった。新規開拓がMission。まず潜在顧客を見つけ出し、その企業の分析を展開する。業界の中でのポジションやその商品の強み・弱み、また競合の状況等を細かく分析した上で、成長性が見込める企業であればアタックを開始する。転職する前の仕事も新規開拓がメインだったので、こういう仕事は大好きだ。まずアポを取り付ける。これが最初の難関で、つまづいたことは数知れない。あの手この手をつかって何とかアポを取ればこっちのもの。Meetingのプレゼンでがんがん押す。「弊社を使えばこれだけのAdvantageがあります!」「弊社は競合に比べて○○という利点があります、だから弊社じゃないと駄目なんです!」何度もMeetingを繰り返し、無数にあるハードルを一個一個取り除き、最後に受注にこぎつける。。。。はずだった。ところが現実はそんなに甘くなかった。実績が出ない。結果が伴わないのである。アメリカは実績社会。数字が全て。実績の無いSalesほど苦しいものは無い。焦りが焦りを生む。現状を打破しなければ、とより焦る。空転する。また焦る。この繰り返しだった。焦る必要は無い、と自分に言い聞かせていた。なぜなら、以前扱っていた商品とのBusiness Engagement Cycleが圧倒的に違うことが分かっていたからだ。以前は初めてのプレゼンから受注までのサイクルが1-2ヶ月と早く、最短で2週間という記録もつくった。今扱っている商品は、初めてのプレゼンから受注までのサイクルが1年はかかるのが当たり前という業界だ。下手すれば2-3年、いや5年かかってもまだ受注できないというのもざらだ。それを数ヶ月で受注にこぎつけようというのがどだい無理な話だった。この違いは頭では理解していたが、気持ちでは理解できていなかったようだ。結果が出ない。非常に焦った。業界の景気も転職と同時に悪化し始めた。2003年秋頃から始まった好景気により業界全体が過剰在庫を積み上げた結果、転職した2004年下半期は減速の一途をたどった。景気の失速はとどまるところを知らず、1Q05は本当に最悪だった。追い討ちをかけるように数ヶ月前に同僚がLay Offされた。実績の無い自分がLay Offされるのは時間の問題なのか、とも思い、正直眠れぬ夜もあった。そんな折、ある出来事があった。Sales内で顧客のRe-Shuffleをすることになり、いよいよ既存の顧客を持つことになったのである。但し、その顧客というのは既に弊社との関係がこじれにこじれており、弊社上層部としても「もうこのAccountはサポートしなくていい、適当に扱っておけ、今年中に関係を断ち切れ!」という方針が出ている顧客であった。数字も微々たるもので、正直な話、どのSalesも担当したくないAccountだったが故に自分にまわってきた、というのが正解だった。Is the glass half full or half empty?ものの見方には幾通りもあると常々思ってきた。これを「ああ。。。こんなアカウントを担当するのか。。。何で俺なんだよ」と捉えるか、「これは願ってもないチャンス!」と捉えるか、要は自分自身の捉え方で全てが決まる、ということである。もちろん、「自分にとって、これ以上ないチャンスが来た!」と思った。信じた。間違いなく、これはチャンスである、と。それからというもの、必死に顧客サポートをした。時差のある地域の顧客だったため直接面会することはできない分、毎晩電話をかけて顧客の要望を聞いた。弊社に改善できる箇所がないか、ちょっとしたことでもすぐに電話をして直接お客様の声を聞くように心がけた。時差のため夜中でもメールを見て、何かあるとすぐに顧客に電話をして対応した。価格を下げろという要求にも、お互いがWin Win Situationを構築できるような様々な提案を考えて対応するよう心がけた。ところがSales上層部も工場側も全く対応してくれない。キリングアカウントなので当然といえば当然であったが、それでも顧客から何とか聞き出したForecastを武器に、にんじんをぶら下げ、これをしてくれれば次の大きなオーダーが入ってくる、と必死に説得を続けた。まず顧客の態度が変わったことに気が付いた。買う側、売る側、といった従来の「BuyerとSupplier」の関係ではなく、共に成長しましょう!という「Partner」の関係を構築したいという思いで対応をしてきたことが、顧客の態度を少しづつ変えてきたのではと思う。絶対にキリングアカウントにしてたまるか、という思い。そして、顧客との関係回復、共に成長するPartnershipの構築という目標を掲げてとにかくがむしゃらに働いたこの数ヶ月だった。Salesなのに、自分の仕事や数字を詳しく振り返る余裕すらなかった。そして6月30日を迎えた。6月30日というの一年の折り返し地点である。言ってしまえばごく普通の日であり、特別な日でも何でもない。だが、自分にとってはちょっと意味を持つ日でもある。2005年の目標をベースに何を達成したか、反省点は何か等をReviewし、年末に向けて目標を再設定したり微調整をする日である。営業は数字が命である。資料をひっぱりだし、色々な計算を始めた。すると驚くべき事実が浮かび上がってきた。a) 私が担当している顧客(仮にA社とする)からの2Q05受注額が、過去最高を記録。b) 「Sales of the quarter」にはあと一歩及ばなかったが、それでも2位を確保。c) A社向け2005年売上額(予測)は2004年実績に対し4倍になる見込み。d) 2005年は、A社は弊社にとってNo.3の顧客となる。e) A社の弊社売上全体に占める割合は、2004年の3%から、2005年は一気に14%を占めることになる。正直驚いた。Salesなので毎日数字を追いかけているが、がむしゃらに働いていたため振り返る余裕すらなかったのだが、こうして数字を実際に列記してみると、何だかとんでもないことになっていた。社内でもキリングアカウントでは無くなってしまった。全体の14%もの売上をたたき出しているのだから、むしろPriority Customerになってしまい、無理なお願いも聞いてくれるようになった。チームワークも生まれた。本当に嬉しかった。でも、もっと嬉しかったのは、お客様に「Thank you, ○○san!」と言ってもらえたことだった。そして、更に嬉しかったこと。それは私を支えてきてくれた親友たちがいたことだった。なかなか実績が出ずに苦しんでいた頃、いつも励ましてくれた。「いやあ、○○だったら絶対に大丈夫だよ!」これは嬉しかった。仕事で実績が出ずに苦しんでいた元旦早々に事件に巻き込まれ、ある親友宅非難させて頂いた。その際に食べさせて頂いたお雑煮の味は今でも忘れられない。この事件で物理的にも精神的にもたくさんの親友に助けられた。そしてやっとの思いで(初)受注を果たした時、ある親友ご夫妻は「本当に良かったね!本当に良かったね!」とシャンパンでお祝いをしてくれた。嬉しくて嬉しくて飲みながら涙が出た。またある親友は会う度に元気をくれる。色々な話を聞かせてくれて、私の闘志を沸き起こしてくれる。会う度に、よし!頑張ろう!と思わせてくれる。本当にありがたかった。そして無数の親友に励まされたことは数知れない。そして、なかなか実績が出ずに苦しんでいた自分をずっと支えてくれた妻に感謝したい。家では少しでもリラックスできるようにといつも笑顔で迎えてくれる。元気が無いときは私の好きなおかずを用意してくれてたりする。週末はなるべく外出してリフレッシュさせてくれる。仕事の話をしてもいやな顔一つせずにじっくり聞いてくれる。自信を失いかけているとみるやいなや、すぐに優しく励ましてくれる。大丈夫!○○は絶対にできるよ!何度も自信を失いかけたが、妻のおかげで何とかここまでこれた。。。あれから一年。アメリカで戦うと決意してから一年。皆に感謝の思いで一杯の一年。ありがとう。今後も走り続けられると思う。

投稿者: シリコンバレー発 脱藩組の挑戦 投稿日時: 2005年7月2日(土) 01:24