今年もマウンテンビュー仏教会が主催する、子供たちのサマーキャンプ 「仲良し学校」 のクラスを持つことになった。10歳前後の日系人の子供たちに、日本食を作らせてみたり、食事のマナーを教えたりする。

ただ時間が営業前の1時間ほどしか取れないので、20名ほどの子供全員になにかを作らせることは難しい。

そこで今回は少し趣向を変えて、家の中にある缶詰をひとつ持ってきてもらうことにした。今なお避難所での生活を強いられている人たちのことを、少しでも考えるきっかけになればいいと思いながら。

今回すしトミで用意するのは、「だご汁(スイトン)」 とごま塩でにぎったおにぎりだ。

みなさんこんにちは。

今日は皆さんに缶詰をもってきてもらいましたが、みんなはどういう時に、どうやってこの缶詰をたべますか?

あなたが持ってきた缶詰は、もし家の電気が使えず、温めることができなくてもそのまま食べることはできますか?

みなさんの中で、これまでに地震や台風などで家が壊れたり浸水したりして、学校などに避難して集団の生活をした経験のある方はいますか?

皆さんは3月に日本でおきた大地震と津波のことを知っていますよね?
たくさんの人が亡くなり、家を失くして避難所での生活をされている方が、36万人もいるそうです。

私の日本の実家は、大きな台風がくると近くの川が氾濫し、川沿いの家は水浸しになり、家に住めなくなる人がたくさんいました。そうして学校などに避難した人たちが食べるのは、塩をまぶしたおにぎりと、野菜などの具ががたくさん入ったスープ、ケンチン汁や豚汁が多かったように思います。

今回の被災地である東北だと、芋煮という鍋かもしれませんね。

そしておかずは、皆が家から持ち寄った缶詰でした。

今回被災された人たちの中には、あなたたちと同じ年頃の子供たちもたくさんいます。今日私は、「そういう人たちに食べてもらいたいなあ」 と思いながらこのおにぎりとだご汁を作って見ました。皆さんも被災地のお友達の食事を想像しながら食べてください。

ではいただきます。・・・・・・・

こういった話をボクが日本語で話し、仲良しのK一家の可愛い二人のお嬢さんに通訳してもらい、質疑応答を交えながら進めた。皆そろって1個のおにぎりとだご汁を食べ、最後は恒例、食事のマナー違反例を、ゴウシシェフに地で模範演技してもらった。

幼い頃、ボクのこれらの災害時の記憶はけっして嫌なものではなかった。大人たちが騒ぐのを尻目に、子供たちはこの非常時の興奮を楽しんでいたように思う。非日常の中で、いつもは食べられない缶詰を食べられることなどもそのひとつだ。水害後の後始末も、大人にとっては大変だったと思うけど、直接の被害のない子供はそれすら楽しんでいたような気がする。でも、それは生死を目の当たりにみていないからであり、今回の被災とは比べ物にならない。

非日常の中で食べる塩のきいたおにぎり、身体の芯から温まる具沢山のスープ、子供たちにはぜひ覚えておいて欲しいメニューだ。

投稿者: 寿司豊味ととろぐ Sushitomi 投稿日時: 2011年6月26日(日) 11:06