会社の同僚のVはうちの会社に入ってから、3年半の間に3回、通勤途中で事故っている。2回目のは当時乗っていたカローラを廃車にするかどうかというほどの規模。彼は往復110マイル(180 km弱)というかなりの長距離通勤者で、年間3万マイル(48000 km)以上運転する。私なんか年間1万マイル乗るかどうかなので、あんたは当然普通の人よりも事故に遭うチャンスは多いよねと慰めると、でも自分は確率(期待値?)以上に事故ってるという。そう言われればそうかなと・・・(^^;)。彼は決してハンドルを握ると人格が代わるとかそういうタイプではなく、いつも大変思慮深く、いわゆる人間ができている感じで私も尊敬している友人なんだけど、彼が運転する車に乗っていると、確かにちょっと会話に注意力を奪われすぎていると感じるときがある。話好きなのはアメリカ人の常だけど、次の交差点に進入するにあたって、正しい車線に移動していないことなどがしばしばある。まあこういうのは彼に限らずこちらでは日常茶飯事だけど(笑)。カルチャーの問題なのか注意力の問題なのかわからないけど、ウィンカー出さずに曲がったり車線変更したりなんてのは当たり前で、左ウィンカー出して右折とかその逆とか、車線またいでの右左折とか、一時停止を止まらずに突っ込むとか、そんなことはしょっちゅう目にする。自慢じゃないけど(いや実はけっこう自慢なんですが、^^;)、私は社会に出てから日本で11年アメリカで9年の合計20年、基本的に無事故無違反である。基本的にというのは、警察を呼んだり車体を修理するほどのこともない小さなものは多少あるという意味で。つまりコツンと追突されたとか、道路に停めてあったときの当て逃げとか(これは保険で修理しましたが)、私に責任があるものはゼロ。違反はアメリカに来てから駐車違反(本当は無料じゃないパブリックパーキングに料金を払わずに停めた)があるだけで(こちらのこの手の駐車違反は日本と違って大きな問題ではない)、パトカーにつかまったこともない。かくいう私も学生時代には、今から思えば若気の至りとしか思えない自損事故や違反は正直いくつかある。本当に幸いなことに人身事故はなかったけど。毎日毎日運転していると、その日の仕事やその他の悩み事とかで、運転しながら集中力を欠きそうになることは誰でもあるだろう。でも心しなければならないのは、車はほんの一瞬の判断の遅れで恐ろしい凶器に変化することだ。そしてほんの一瞬の判断の遅れがあなたの人生を台無しにして、一生消えない後悔を生む可能性があるということ。どんなに疲れていても、悩みがあっても、嬉しくても、悲しくても、腹が立っていても、これから運転するのであれば、気持ちをすっと一旦切り替える必要がある。若いドライバーに重篤な事故が多く、保険料が高いのは、やはり若者にはこのように冷静な気持ちの切り替えがどうしても難しいからだ。でもひとたびハンドルを握ったら、とにかく運転に集中しなければならない。そしてこと運転に関しては、他人をむやみに信用しないこと。対向車はウィンカーを出しているから曲がるはずとか、こっちが優先だから向こうは止まるはずとか、絶対に決め付けないこと。周囲の車がどうしたいのかを常に予測し、たとえ予想外の動きをしても慌てないよう、いつも想像力を働かせておくことが大事である。隣の車線にいるあの車、どうもこっちに移って来たいみたいだとか、細かい挙動を観察していればけっこうわかるもの。そして可能であれば、いつも前方だけでなく、左右と後ろ、左右斜め後ろに車がいるかどうかの状況も把握しておくのが望ましい。目をいつもきょろきょろ動かして、それぞれのミラーをチェックしておくことで、自分の周囲はかなり把握できる。そうすることで、とっさのときに右によけるか左によけるか等の判断につながり、事故を避けたりといったことが可能になる。私自身は最初から運転が趣味で、その昔競技者ライセンスとか取って、ジムカーナという競技会やサーキット走行会といったイベントに参加したり、積極的に運転の練習をして、いわゆる車の限界時の挙動(どんなときにコントロールを失ってスピンしたりするか)とかも経験的にある程度知っているので、そういう経験をしていない多くの人と比べれば安全な運転ができてある意味当然なわけだけれど、別に運転が好きなわけではなくて、必要に迫られてやっているという人には難しい注文かも知れない。でもそういう人にこそ心していただきたいのは、車を運転する以上、自分は運転が苦手だとか、好きじゃないとかいうのは何の言い訳にもならないということ。言い尽くされた言葉ではあるけれど、車は一瞬の不注意で便利な乗り物から恐ろしい凶器に変わるということを、エンジンをかけるたびに思い出したい。本当に後悔先に立たずですから。
投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年6月11日(木) 23:54- 参照(181)
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