こちらに移ってみてわかったことのひとつに、日本の会社のタイトル(肩書き)の英訳がしばしばちょっと変なことがあります。企業の「研究員」というのは、普通は「Scientist」なんだけど、日本の会社の名刺では「Researcher」だったりする。Researcherっていうのはresearchをする人なので確かに研究者の意味だけど、一般的な意味で使われることが多くて、タイトルには使われない。こちらのScientistは原則Ph.D.であるという前提があるのに対し、日本では博士と修士、時には学士さえ区別なく研究員と呼ぶことがまぎらわしくなるひとつの理由だと思うけど、こちらでも時にはnon-Ph.D.の人にもScientistのタイトルを付与することもある。細かい議論はどうであれ、こちらの人が名刺に「Researcher」ってあるのを見ると、???になってしまうのが現実なので、学位のいかんに関わらず、みんなScientistにした方がいいとと思う。次は主任研究員とか主幹とか。Senior Researcherなんて言われるとそれこそ?????となる。いわゆる主任研究員だとGroup LeaderとかDirectorとかになる。ただしDirectorはやや範囲が広く、ヒラ的な管理職のこともあれば、部長級、ときには所長級のこともあるのでちょっと難しい。会社の規模にもよる。一方、日本でリーダーというと管理職的イメージはあまりなく、単なる中堅研究員くらいのイメージだが、こちらにはSenior Scientistというのがあって、リーダーは通常その上となり、どちらかといえば管理職に近い。日本で「リーダー」と「マネージャー」のどちらが上かと聞かれたら、マネージャーと答える人が多いと思うけど、こちらではむしろ逆になります。マネージャーというのは日本だと管理職っぽいけれど、こちらでは普通は管理職ではなく、日々の実務を切り盛りする一般社員的なイメージ。肩書きなんてどーでもいーじゃん、というのはありますが、名刺の裏側を英語版にするなら、どうせならちゃんと通じるものにした方がいいのでは?と。特にビジネスデベロップメント等に関わる人は、お互いの裁量の範囲を明確にする上でも重要かと。上記は私が知る限りのバイオテック業界での話ですが、こういうのは業界によっても変わってくると思います。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年5月20日(水) 22:06