SVツアーとか、ここ数年いろいろな機会に日本の若い人と接していて、感じることがあります。ちょっと苦言のようになるので、本当はあまり書きたくはないのですが、そういうことを書かれる方が少ないようなので、ちょっとがんばって書こうかなと(^^)。それはひとことで言えば、サポーターになりたい人ばかりが多すぎるんじゃないの?ということ。まだ社会に出てもいないうちから、産業界を支えたい、新たな枠組みを作りたい、ベンチャーを起こす人たちを応援したい、アカデミアとインダストリーをつなぐ仕事がしたい、VCになりたいといった、そういったビジョンに共通することは、みんな「サポーターになりたい」ということなのではないかなと。もっと言えば自分は比較的安全な高台みたいなところにいて、でもエキサイティングな現場に関わりたいという、ちょっとおいしいところだけ狙いすぎなのではないかと・・・。逆に言えば、フィールドプレーヤーになりたいという人が少ないのではないかと思うわけです。ブログというツールが普及して、誰でも意見や情報発信ができるようになってそれなりの年数が経って、アルファブロガーと呼ばれる人たちができて、ネット上の世論みたいなものは、かなりの部分でそういった人たちがリードするようになっていると思います。これはまったくの仮説なのですが、ブログを書く人の中で(あくまで書く人の中で、です)、一番たくさん書くのは実は一番忙しい人たち(より正確には一番たくさん仕事をしている人たち)で、次に書くのは理由が何であれ比較的時間がある人たち(たとえば私)で、それらの中間に位置するほとんど大多数の人たちが、忙しくてそんな時間はないと感じて、相対的にあまりたくさん書いていないのではないかと思っています。もちろんまったく書かない人は除いての話なので、ほんの一部の集合の中での仮説です。でも多くのブログでたくさん書かれていることが多数意見に見えるというか、みんなそう思っているのかと錯覚してしまうという現象が起きているのではないかと、ちょっと気になっていたりします。百の議論よりも一つの実験。どんな分野にも当てはまるかどうかは分かりませんが、これは私が今まで創薬の世界で20年余り、研究の現場で過ごしての実感です。ごちゃごちゃと理屈をこねるよりも、ひとつでもデータを出せということで、それでこそ次のステップが見えてくるのですが、そういうコンセプトが、その性質上どうしてもあーだこーだという議論中心になりがちなウェブ上では、なかなか市民権を得ません。そんな暇はないという以前に、もしかしてこれが、バイオ系研究者があまりブログを書こうと思わない理由なのかも。サポーターや評論家には、あとからでもなれます。でもプレーヤーとして精一杯のベストを尽くせるのは、比較的若いうちだよとも言いたいです。ここでいう若いうちというのは、創薬研究においては大して使い物にならない20代ではなく、30代、40代のプロフェッショナルをイメージしています。これをいわゆるベンチャーでやるのは、家庭もあったり子供もあったりするとそれなりのハイリスクになるけど、成功したときのリターンは、当然ながらそのリスクを取らなければ得られないわけで。まだ成功していない私が言ってもあまり説得力ありませんが(^^;)、うまくいってからのサクセスストーリーではなく、まさに現在進行形の実況中継がこのブログの売りだと勝手に思っていますのでとりあえず言っておきますが(笑)、うまくいかなかったときのことを考えたら何もできません。それにハイリスクのベンチャーといっても、ひとりでやってるわけじゃありません。その会社の全員が同じ舟に乗っているのです。どんなベンチャーだって、うまくいく保証なんか何もないし、ないからこそベンチャーなのです。保証はないけど、うまくいったときのことを考えて前を向かなきゃ何もできないし、うまくいかなかったらすばやく方向転換して何とかうまくいかせる方法はないかを考えるのです。それでもだめならその時はその時。自分が見つけたかどうかには関係なく、そこまで割り切れるくらいの希望(技術)のタネがあれば、あるいは自分がそのタネをふくらますことができるという気がするのであれば、その可能性に賭けてみてもいいのではないかと思います。私の場合きっかけは偶然ながら、縁あって今の会社に加わり、ホウ素化合物という医薬品としてはあまり他社がやっていないことをやり続けて6年になります。今までいくつかの化合物が臨床開発に進み、さらにいくつかが新たに臨床入り予定です。まだまだわからないとはいえ、新しいものをラボから臨床へと送り出す仕事は、苦労も多いけれどわくわくすることも多いです。まさに現役プレーヤーであるがゆえの醍醐味だと思います。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年4月22日(水) 22:51