さて、2週間近くたってしまったのであるが、日本のセミナーで「思い切り景気の良い話しをします」ということで、いろいろとアメリカの景気の良いITベンチャーの話しをしたのでした。そこからいくつかご紹介。(こういう風に上手く行っている話しはあちこちにあるのだが、金融業界さんのせいで足を引っ張られている。その辺が整理整頓されれば、水面下でイノベーションに励んでいる会社が多数表面に出てくることでありましょう。)

  • Zappos.comオンライン靴屋。バッグも売ってます。未上場ながら去年の売上げ$1 billion突破(1000億円)。売りはカスタマーサポート。夢の定価商売だ。顧客の75%はリピートカスタマー。

ZapposのCEOのスピーチ。売上げ推移グラフもある。

  • Pure Digitalオンラインでのコンテンツシェア/管理が容易な小型デジタルビデオ、Flip Videoの会社。去年の売上げ$150 million(150億円)。100万台売り上げるまでの期間は、iPodが100万台売り上げるまでより短かったそう。昨年Ciscoが$590 million(590億円)で買った。
  • Opentableグルナビ+リアルタイム予約システム。レストランに予約システムを納入、これをサイトでの予約と直結させているので、15分後の予約、なんていうのも可能。いと便利。去年の最初の9ヵ月の売上げ$41 million・・・ということで、高収益というにはちょっと小さいが、使うととても便利。
  • Craigslist2チャンネル+クラシファイド広告+求人広告+その他諸々を都市ごとに提供。ただいま50カ国、570都市あり。(日本もある。ちょっとしか情報はないが)。一部都市での求人情報だけ有料(しかも圧倒的価格破壊でシリコンバレーは75ドル、それ以外の18都市が25ドル(それ以外は求人情報も無料)。売上げ100億円(もしかしたら200億円超かも?)などなどと噂されているが、外部投資家もおらず社員は25名というステキなビジネス。
  • あとは、公開しているが、最近業績を伸ばしているのがNetflix。ツタヤでもやってるDVD郵送レンタル事業が核で、これが、不景気でより安値を求める市場のニーズにマッチ。それだけでなく、数年トライしてきたコンテンツのダウンロード販売がついに花開いて、単なる「安値狙いサービス業」化していないところがミソ。去年の11月からXBox経由でNetflixのサービスを受けられるようになったが、2月の頭までの2−3ヵ月で100万人がこのサービスに入って、トータル15億分のコンテンツをダウンロードした。XBox以外もいれると、数百万人のダウンロード顧客がいる。やっとテレビ画面でインターネットからダウンロードしたコンテンツを見るのが当たり前の時代になった。去年の売上げが$1.36 billion、約1360億円。(以上、円ドル換算は1ドル=100円でしてあります。)====というわけで5−10年前と比べて、インターネットビジネスの規模が一桁(か二桁)上がったと思う。オンラインで靴売って1000億円、という時代になったのね、と感慨もひとしおなのであった。こうした未上場企業には「是非投資したい」と思う一般投資家も沢山いると思うが、そういう会社が上場できないとは、Sarbanes  Oxleyの害は大きいですなぁ。(去年の夏以降は景気要因ももちろん大きいが)。一応Open TableはIPO申請中で、市場回復を見計らい中ではあるがどうなることか。それにしても、本当にアメリカでの上場は大変になった。Sarbanes oxleyも緩和されつつあるが、なんとか企業価値500−1000億円くらいの会社が簡単に上場できるようになって欲しいものです。

    投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年4月28日(火) 20:42