JTPAシリコンバレーカンファレンスを受けての感想。私も設立当初から関与しているJTPAというシリコンバレーの日本人NPOが、シリコンバレーで働くことについてさまざまな角度から話をする丸一日のカンファレンスを実施、120人ほどが参加した、というもの。前後で何十件もの会社訪問や学校訪問、その他もろもろのイベントが催され、なかなか活発であった、、、と思う。実はカンファレンス当日、私は自分の話す最終のコマしか行かなかったので、他のセッションで何が話されていたか皆目わからないのだが、聞いていた主催者側であるJTPAの人たちが異口同音に言っていたが「『愛国心はないのか』『日本を救うために何をすべきか考えているか』という類の参加者からの質問が複数あった」ということ。で、主催者側の人たちの中は、かなり反発を感じた人たちも複数いた模様。というのも、JTPA側はみなボランティアでこのカンファレンスを開催したわけで、それは「同胞であるところの日本人に貢献したい」と思っているからであって、それだけ一生懸命やったのに「愛国心はないのか」なんていわれると、例えそれが一部の人の意見だとはわかっていても、なんかもうがっくりきますよね、普通。(私は自分の分のセッションの話をするのと、翌日家でブランチを開催しただけで、まったく運営にかかわっていないので、べつにじっと手を見たりはしないのだが。)「国をよくする」以外にも「どうやったら日本の会社はよくなるのか」という質問もちらほらあったようだ。私を含め、主催者側の多くの人は「不満があったら、自分の環境が変わって欲しいと夢想しているのではなく、まず自分が変わるべき。転職するのもひとつの『変化』。自分すら変えられない人に、他のものを変えられるはずがない」と思っている。(私がカンファレンスで話した際に例としてあげたのは、「飛行機で、非常事態には酸素マスクが降りてくる。着用の注意として『例え自分の子供が横にいても、まず自分がマスクをつけろ。自分が気を失ったら、もう子供を助けることもできない』といわれる」というもの。)だからこそ「シリコンバレーで働くという変化も面白いよ。(万人向けじゃないが)」という情報発信をするために、手弁当でこのカンファレンスを実行したのだと思う。ま、とはいうものの、「JTPA側の人はこう思う」とまで言うと言い過ぎで、ま、いろいろな思いを持つ人がいると思うので、以下は私の意見だが「『集団』を作っているのは『個人』である。その『個人』がそれぞれ変化していくことで、『集団』も動く(かもしれない)」と思っているわけで、「まず集団が動くと、その中にいる個人も右に倣えで動く」という計画経済的なのは嫌いだし、(少なくとも先進国になってしまった後は)うまくいかないと信じている。冒頭の「日本のために」という類の質問をされる方の頭の中では、「日本国」というのは、中のヒトであるところの「日本人」とは乖離した、別個の上位システムとして認識されているのではないかと思うが。そして、時には、「所属する組織」を去る、ということが、その組織を改革に導くために一番いいことであることもある。まぁ、卑近な例で言えば、どんなに客の扱いが悪いレストランがあって、それに不平不満を言っていても、みんながそのレストランに行き続けている限りは何も変わらない。が、客足が遠のけば、レストラン側も必死の努力で変わろうとするものである。余談ですが、そういえば以前、日本から企業派遣で留学中の方に「どうやったら日本も転職が容易な社会になるでしょうか」と聞かれて、「うーんそういう社会にしたいんだったら、まずあなたが転職してみたらどうでしょうか」と答えたことがありましたが。まずは隗より始めよ。(ちなみに、「隗より始めよ」の元の逸話はかなり面白いので、興味のある方はグーグルしてみてください。)

投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年3月27日(金) 21:50