オバマがヒラリーより獲得した選挙人の数が多くなって、予備選で優勢になってきている。ヒラリーは多数の選挙人を抱えた大きな州で強く、Super Tuesday以降2月は小さな州の予備選しかないので、そのせいではあるのだが、次々と負け続けるとなんとなく「負け犬」感が強まって、結局大選挙区の州でも負けちゃうのでは?と、マスコミは語るのだが・・・しかし、so farマスコミの言うことはあんまり当たってないんですな。特に予備選二州目のニューハンプシャーの時。「オバマ圧勝」という予想で、投票前日にヒラリーが涙ぐんだのも、圧倒的に劣勢だと思われていたから。ところがどっこい、ふたを開けたらヒラリーの勝利。当日のCNNの選挙報道番組では、解説者たちが鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたのが印象的であった。ニューハンプシャーでは、40歳以上の女性が怒濤の勢いでヒラリーに投票したのがヒラリーの勝因とされているのだが、かなり年配の解説者男性が「うーむ、40歳より上と下で女性の何が変わるんだ?いやー、誰か女性に解説してもらいたいよ。誰か教えて・・・」みたいなことをぶつぶつとつぶやいていたが。(一応その後の分析によれば、女性として仕事で苦労した世代と、女性の権利がある程度確立してから仕事をするようになった世代とで、ヒラリーへの思い入れが違う、、というのが理由らしい。)共和党側も、McCainはもはや過去の人、と言われてたのに快進撃だし。「なぜマスコミは、全く当たらなかったか」についてのマスコミ自身の分析もあちこちで目にし、耳にするのだが、結局のところ「アメリカは広い」ってことでしょうか。日本社会だったら当然のようにある「普通こう思う」という「普通」がないんだな。育った環境、宗教、教育、経済力などにより、全く違う信念を持つ人たちが存在し、常に互いにせめぎあっている。こういうことを言うと、「いや日本だっていろいろだ」と言う人もいると思うが、比じゃないんですわ。例えば、まじめに「誰でも銃を自由に持てるべきだ」と信じてる人たちが沢山いるんですヨ。(念のため、「保守」側の人たちがほとんどです。)自分の身は自分で守る、という発想による。今日も大学で銃の乱射事件があったが、こういうのがあると必ず「みんなが銃を持っていれば、被害者側が犯人を撃ち殺すこともできたのに」てなことを言う人が登場する。西部劇かい。話しを戻すと、とにかくいろいろな信念、思想がバラバラとある訳だが、そのバラバラな理由のもう一つが「権威ある人の言うことを鵜呑みにしない人たちが一杯いる」ということもある。今回の大統領選でも、メディア(本当かどうかは別として「権威ありそうな人」ですな)がこぞって、「オバマが圧勝」と言っても、「そんなの知らないし」、といういことで、演説を聴いたり、選挙活動ボランティアと語りを入れたりして、それで意見を決める、という人たちが一杯いる訳です。(なんで、ヒラリーやオバマといったメジャー候補でも、小学校の体育館とか、その辺のパン屋とかで地元の人を集めて語りを入れたりする。)ま、それ以前に、そもそもテレビの選挙解説番組なんか見てない人の方が多いということもあるのだが。普段のニュース番組ですら、見る人が(制作費に比べて)少ないのでテレビ局に取ってはお荷物らしいし。いずれにせよ、国政という大事な問題で、テレビやラジオ、新聞で、それっぽい肩書きの人たちがもっともらしく語ることが見事なまでに圧倒的に外れる、というのは大変気持ちがいいです。それは、「マスコミ、ざまぁ見ろ」、と言うことではなくて、「『よくわからないうちに国政が運命のままに流されて行く』という感じがしないから」だと思うんですな。いや、大統領選って楽しいなぁ。ちなみに、今日Romneyのサポートも得て、共和党の候補に選ばれることがほぼ確実となったMcCainですが、その選挙アドバイザートップが昨日ラジオで「民主党側の候補がオバマになったら、私はMcCainのアドバイザーを降りる」と公言して話題に。この人、Bushの選挙アドバイザーとして二度の勝利をもたらし、今回も、一旦破産して過去の人化したMcCainの奇跡の復活を実現した人でもある。(McCainは、前回の選挙ではBushにぼろ負けした訳だが、その敵の将軍を獲得した、ということでもありますね。)で、その人が、「オバマは素晴らしい人なので、敵として攻撃したくない。なので、相手がオバマだったらおりる」と。これって、ものすごいendorsementではありませぬか?

投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2008年2月14日(木) 23:29