B-Bridgeの桝本さんにお誘いいただき、今注目の新技術 NeuroSkyのデモと同社CEOのStanley Yang氏のお話を聞いてきました。イベントは東北大学米国代表事務所の主催するセミナーで、B-Bridgeのオフィスで開催されました。NeuroSkyはヘッドホンのように簡単に装着できるデバイスから脳波を読み込み、装着している人の思考や感情を分析して、ゲームなどの入力デバイスとして使用するという画期的な新技術です。医療用のバイオセンシングと異なり、装着するセンサが少なく、ジェルなども使わないドライコンタクトのため、取れるデータの精度や情報量は少ないものの、医療目的ではなくゲームのコントロールなどに使うには十分とのこと。実際にデモのゲームをいくつか実演してくれましたが、ゲーム内とはいえ手足を動かさずに念じるだけで物を持ち上げたり投げ飛ばしたりする様子は、スターウォーズのようで近未来を感じさせるものでした。別に病気の診断をするわけではないので、そんなに高い精度はいらないし、ゲーム目的ならこれで十分。逆に、50ドルを切る端末価格で実際に商品化できたことで今後無限の可能性が開かれるというのは、CEOのYang氏のコメントです。すでにゲームや携帯などを初めとし、興味深いところでは生産ラインでのオペレータの注意力をモニタしラインの速度を調節するなど、様々な利用方法が具体化してきているそうです。人間はこれまで自分の脳からどんな脳波が出ているかなんて知ることがなかったのが、この装置を装着するだけで誰でも簡単に、「あ、いまリラックスを示すアルファ波が出ている」「集中力が高まってきた」などのフィードバックが得られるようになるわけです。これは、スポーツ選手がいかに「集中」と「冷静」をコントロールして精神的にベストなコンディションを自分から作り出すかなど、新しいバイオフィードバックとしての活用にも期待できます。Yang氏の話では、この装置を装着してゲームをすると、誰でもすぐに自分の脳波をある程度コントロールすることが出来るようになるそうです。実際に、画面上のオブジェクトに集中することで、それを相手にぶつける対戦ゲームでは、ぶつけられた人は物陰で「リラックス」状態を作り出すことでHPを回復するというデモを見せてくれました。これは、本来ゲームでダメージを受けて興奮状態であるべきなのに、意図的にリラックスの状態を作り出すという操作なわけで、そう簡単に特定の脳波をコントロールできるようにトレーニング可能なら、今後脳波を元に精神状態を判断するのは難しくなるのかなと感じました。NeuroSkyの応用としては、トラックのドライバーなどが装着し、眠くなって集中力が落ちてくると警告を出すといった安全面への利用もあるそうですが、これなどは先のゲームの例を見ると、「こういう状態になるとアラームが鳴るようだ」というフィードバックをドライバが学習し、眠いけどアラームは鳴らさないといったチートができるんじゃないかと思ったわけです。でも、更に考えてみると「眠いけどアラームは反応しない」という脳の状態を作り出すことは、すなわち意図的に集中力を高めることをしているわけで、脳波をコントロールしてチートしているから安全面で問題がある、とは短絡的に結論はできないのかもしれません。いずれにせよ、ちょっと前まではSFやマンガの世界だけだった念力が実際に使えるようになるというのはワクワクさせますね。これからNeroSkyのテクノロジーを使ったどんな商品が出てくるのかに興味を持ちつつ注目してゆきたいと思います。Wiiの念力コントローラが出たら即買います。セガトイズと米NeuroSky社、「思考で操作する」玩具開発で提携:: Wired Vision 12/12/2007
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