「英語力」などと不思議な言葉を使う人が良くいるが、英語の能力は、TOEIC の点数のように、1つのスケールで全て計れるものではない。日常会話と仕事で使う英語はかなり別物であり、片方が出来るからといっても、もう片方が出来るわけではない。そして、仕事で英語を使っていても、得意(日本語で話すときとの違いをさほど感じない)な仕事から不得意(日本語に比べて明らかに効率が落ちる)な仕事までのバリエーションが出てしまうものだ。僕の場合、日本語を使う場合との差が小さいものから順番に並べると以下のような感じになる。
- 自分が一定期間やってきたものについて技術的な説明
- きっちり理解しているものについて技術的な説明
- きっちり理解しているものについてのディスカッション
- 基礎が分かっているものについて、さらに詳しく理解
- 意見が対立している相手を説得
- 新しい仕事について一から理解
- 自分が今一歩理解していない内容についてのディスカッション
- 騒がしいレストランで食事しながら面白い会話
- ろくに理解していない内容についてのディスカッション
- 大量の文書をすばやく読んで概要を理解
- 意見が対立している相手を、相手の感情を害さずに説得
- 新しい概念を一から理解
「技術的な話は専門用語を使うものの、実は使う語彙数は限られている。よって、技術の内容と言葉が頭に入れば、そこから先はそれほど難しくは無い」という話は良く聞くし、実際そのとおりだと思う。しかし、並べた項目を自分で眺めてみると、結局は今までに積んだ経験がそのまま得手不得手に繋がっているようにも見える。そりゃ、練習すればするほど上手になるよな。1ヶ月ほど前からプロジェクトマネージメントを100%やることになり(これまではエンジニアと50/50)、気がついてみると上の表のトップ3をやる機会が全く無い状態が続いている。その代わりに、真ん中から下の項目をやる機会が異様に増えている。つまり、バタバタしている日々が続いている。そういうわけで、英語が下手になっている。アメリカの親会社に移籍してから、ずっと日本語を使わずに仕事をしている(日本と繋がりの無い仕事をしている)。それを格好良いことだと言ってくれる人も居るし、自分の能力を十全に発揮していないので良いことではないと指摘してくれる人も居る。自分でも時々、片手でボクシングをしているような気分になることがあり、折に触れて悩んでしまうテーマになっている。それが今回、片手(ちなみに弱い方の手)でボクシングをするだけではなく、今まで鍛えてきたジャブとフックを封じられた気分である。ほとんど使ったことの無いボディーブローとストレートだけでしばらく勝負をしなければいけない。大変だなあと思いつつ、まあこういう試合をするのは別に嫌いじゃないし、気がついた頃にはストレートが必殺パンチに育ってくれるかもしれないし。そういうわけで、しばらくバタバタしてみるつもりだ。自分の希望と逆方向に進んでるわけでないのなら、とりあえず頑張ってみて損はしないだろう。いつまで下積みなんだよ、そろそろ収穫期への移行を考えてもいいんじゃないか、という話もあるが、それはまた別の話だ。でもいい話があったらよろしく。関連記事:僕が一番英語が出来た頃情報伝達速度を「英語力」の指標にしよう
投稿者: admin 投稿日時: 2007年8月1日(水) 23:48- 参照(367)
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