最近のトレンドなのか、雨後の竹の子のように増殖するラーメン屋に対する反動のようにベイエリアには高級寿司店がオープンしつつあります。
San Mateoの4th Streetにも、高級志向の寿司屋「よしずみ」が4月に遂にオープンしました。いやぁ、長かった。僕はこの店のオープンを首を長~~くして待っていたのです。というのも、この店、San Mateoにその店ありと言われた昭和の香りの色濃く残す老舗居酒屋「らくに」がクローズし、店舗を全面改装し、そしてオープンしたお店なのです。店を閉めることが決まり、らくにのオーナーのクニさんから、「ここは寿司屋になる」と聞いていたときから、どんな店が入るのかとワクワクしていたのです。
しかし、なかなかオープンしない。らくにがクローズした直後にガラス張りのドアの内側には新しい暖簾が取り付けられ、すぐにでも次の店がオープンするのかと思いきや、全くオープンする気配なし。店の前を通るたびにそろそろ開くのかなと覗き込むもまったく代わり映えなし。そして、この店のことを忘れたころにようやくオープンしたことを知りました。早速行ってみようかと予約を試みたものの、オープン2ヶ月後にも関わらず既に人気店のようで、予約は2週間先となり、ようやくの入店となりました。
さぁ、店内に足を踏み入れます。扉はらくにと変わらず中の見えるガラス扉ですが、店内は昭和の雰囲気のあったらくにと全然違って、現代的な内装でその落差にびっくり。静かに流れるBGMはジャズ。天井は高く、椅子は高級感があり、カウンターは広く、キッチンエリアも極めてすっきりとして、店内が広々と見えます。カウンター席数は9席のみと極めて少数です。
らくにには、店内に瓦葺を模した飾りや、壁一面の竹林の写真、室内アンテナのついた小型ブラウン管テレビから流される日本のゴルフやバラエティ番組・・多少ごちゃごちゃした雰囲気あれど、それが逆に居心地が良かったりしたのですが、その当時の様子をしのばせるものは何もありません。
現在、この店のメニューは$85のおまかせコースのみ。アペタイザー4品と寿司8貫のコースです。
コース内容は1ヶ月ごとに変わるとのこと(ただし、鮨のネタはその日の都合で変わる可能性あり)。
さて、この日の一品目、ホタルイカです。旨いです。
牡蠣の白和え。牡蠣はしっかりとスモークされているので生臭くはなく、牡蠣のソフトな舌触りとカリフラワーのクリスピーな食感のコントラストが楽しめる一品。
アジの刺身、タチウオの焼き物、エンガワの刺身(だったと思う・・)。ピンボケご免!
煮タコ、アンキモ、セロリの小皿。
タコがめちゃくちゃ柔らかくて旨い!アンキモも独特のソースで味付けされていて、いわゆる普通のアンキモとは違う味でうま面白い。
茶碗蒸し。小鉢の蓋を開けると、中は真っ黒でびっくりさせられますが、これは海苔のソースが上にかかっているからだそう。中にはアワビの身が入っていました。
写真撮るの忘れましたが、もずくの酢の物の小鉢も出ました。涼しげな青みのある透明なガラス鉢に、もずくが入っていましたが、面白いのはイチゴや長芋の細切れ(?)が乗せられていました。
続いて寿司です。
サヨリ
寿司は江戸前風ということですが、酢飯には赤酢を使っているそうで、シャリがやや茶色がかって見えます。はじめ、その寿司を見たときに、玄米寿司なのかと思ってしまいました。また、ガリは良く見るスライスタイプではなく、サイコロ状になっています(寿司の横にあるサイコロ状のがガリです)。
コハダ
ホタテ
トロ
イカ(だったと思うが記憶怪し・・・)
ウニとイクラのミニ丼風
アナゴ
カンピョウ巻きとダシ巻きタマゴ
お椀。赤味噌と海苔の味噌汁。
デザートは、ゴマと抹茶のアイスクリームをタイヤキのコーンではさんだもの。
寿司もアペタイザーもとても美味しくいただきましたが、量としてはどれも小ぶりで、すべて食べても成人男性にはまだ腹八分目といったところでしょうか。追加で何かオーダーすることもできるようです(僕たちは追加しませんでした)。
アペタイザーの寿司ネタも、手の込んだものを出してくれています。トロは10日程度寝かしたものだそうで、スジも全く感じることなく口のなかで蕩けました。
カウンター越しに、オーナーのよしずみさんとお話させていただきましたが、物腰のやわらかいとても親切・丁寧な方で、楽しく食事させていただきました。
どうやらお店は3人で切り盛りされているようで、よしずみさんのほかにキッチンに若い男性シェフが1名、ウエイターが1名いました。よしずみさん以外は日本語は話せないようです。客席9席ですから少人数スタッフで回せるのでしょうね。
さて、この店、どれもこれもとっても美味しくいただくことができました。コースのみということで、多少値が張りますが、是非また再訪したい店であることは間違いありません。
面白いなと感じたのは、この店の営業スタイル。この店、寿司屋ですが、いわゆる従来の寿司屋とは営業スタイルがかなり異なります。
- 店内には寿司ネタのショーケースがありません。寿司ネタは既にカットされたものが木箱に用意されており、そこから取り出されて寿司が作られます。
- ということは、寿司をにぎるのに包丁を持つ必要がありません(ネタが切られているので)。サブシェフの方が巻物を切る際に包丁を使っていましたが、それ以外では包丁の出番はありませんでした(追加オーダーしたら使われるのかも?) ただサブシェフの方のカンピョウ巻きの切り口はあまり美しくなかったな。
- 寿司屋ですが、お任せコースのみなので、あれこれ自分の好きなネタをオーダーできる店ではありません。「今からちょこっと立ち寄っていく?」って感じでは使えません。
- 寿司は既に味のついた寿司を出してくれます。という訳で、各席に醤油はありません。一部、塩を振ってくれた寿司は自分には多少塩味強すぎました(僕が薄味好みなだけかも・・)。
- コースのみでメニューを一ヶ月程度おきに変えるというスタイルは和厨に似ています。こうすることで、仕入れ損失も抑えられるし、仕込みも一定のルーチンワークになり、店側のスタッフが少人数でも回しやすくなっているのでしょうね。
- 席数は9席のみ。ディナーのみの営業なので、一日2回転の最大18人しかお客さんは入れません。
- 予約する際に、好きな時間を選ぶことは難しいかと。基本、夕方6時または8時のどちらかになるようです。
- 時間をかけてしっかり手の込んだものをあらかじめ準備しておいて、お客にそれを振舞うといったスタイル。なので、人気寿司屋のように怒涛のオーダーを手際よくさばいていく多忙な寿司シェフの姿はここでは見られません。よしずみさんは、常にお客の食事の進み具合を見ながらちょうど良いタイミングで次の品を出してくれます。お一人様で入店しても、十分に楽しめるお店だと思います。
- 伝票には、よくあるようにチップの目安が書かれていましたが、12%, 15%, 18%の3タイプが書かれていました。これ、よしずみさんの人柄が表れているのでしょうね。普通は15%から、または18%からスタートしていますよね。
個人的には、この店は今以上に人気店になること間違いないと思います。少なくとも、ミシュラン推薦店になるんじゃないかと。
興味のある方はお早めに行かれるのがよろしいかと。この店に限ってそんなことはないと思いますが、スタートダッシュに成功してお客が来るようになると、レベルを下げて回収モードに変わる店を多々見ていますので・・。
Yelpの評価も既に5つ星がついていますが、まだ日本人客は少ない様子です。
コースのみなので頻繁に通えるような店ではありません(値段も去ることながら、品が変わらないし、予約がほぼ必須となる)。小腹が空いたときに立ち寄れたり、軽く飲みに行くようなときに使えないのは残念。
そして、この店は予約必須です。
僕たちが食事しているときに、walk in してきたお客がいましたが、予約がないとのことでこの日は入店できないでいました。ちなみに、予約はお店のWebサイトからして欲しいとそのお客に話していました。
自分はたまたまお店のWebサイトから予約したのですが、OpenTableのようなすぐその場で予約が確定するシステムではなく、Webサイトの予約フォームに書き込み、それ以降はemailでやり取りして予約が確定するシステムです。なので、Webサイトで今日の予約を入れる!なんてことはほぼ無理だと思います(その場合には電話されるのが良いかと)。あらかじめ余裕を持って予約されるのがよろしいかと。
最近行った銀亭と比べると、今のところは「よしずみ」に軍配を上げたいです。が、銀亭ではテーブル席だったので、現時点での比較はフェアじゃないですよね。機会があれば、銀亭のカウンターで酒飲みながらお任せ寿司を食べて、それから評価でしょうね。
ちなみに、よしずみでは、お酒はビール・日本酒・ワインが置いてありますが、それほど品数は多くないものの、選りすぐりの良いものをおいているようです。はじめビールからいただきましたが、ビールのグラスは、ガラスの薄いグラスで、ビールのうまさが引き立ちました。
お店に確認していませんが、このお店、カウンターのみ、コース料理のみなので、子連れでは行けないお店かと思います(少なくとも小さなお子様を連れて行くのは遠慮した方が良いかと)。この日、ぴろ子は友人宅にあずけての寿司となりました(友人家族に大感謝)
鮨よしずみ
325 E 4th Ave.
San Mateo CA 94401
TEL (650)-437-2282
5:30pm - 10:00pm
火曜日休み
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