巨漢のホセはよくしゃべる。気は優しくて力持ちではあるが、とにかくおしゃべりだ。
ホセがしゃべりだすと誰も口を挟めない。ボクは、彼が話し始めると皆に、「ホセ大統領の演説が始まったぞ!! 皆静かにして聞きなさい!!」といつも言って皆の笑いを誘う。
ホセは電話魔でもある。仕事前、休憩中、とにかく電話を離さない。とある昼休み、いったい何を、誰と話しているのか確認してみたくなり、こっそり近づいてみた。
ずっと受話器に耳を当てているが、当人は何も話していない。たまに相づちをうつか、「そうそう、はいはい、うーん、よくわかるよ。」ボクにもすぐ理解できる範囲のスペイン語だ。「奥さんか?」とこっそり聞いてみると、照れ笑いを浮かべながらうなづいている。
「ホセはおしゃべりなのに、奥さん相手だと聞くばかりなのか?」と聞いたら「言い返すと電話を切れなくなるから」とハニカミながら巨体を揺すっていた。
ホセ、
ホセよ、「俺たちに国境はないなあ、、、、、でも明日もないぞ。」
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