書籍:「経済入門 理論と実践 基本マスター」(★★☆)コメント:大学時代は経済学専攻でも無かったので、これまで経済学というものを真面目に学んだ事が無かった。正直、経済学って、実生活に於いて何の役に立つのだろうか?と思っていた時期もあったが、ちょっと齧る程度は学んでみようかなと思い本書籍を購入してみた次第。本書籍は、「マクロ経済」「経済指標」「財政」「金融」「国際経済」「ミクロ経済」「企業経営」「マーケット」「今日の課題」から構成されている。2004年出版の文献であるため、時事ネタなどは若干古くなった印象は否めないが、身近な話題に置き換えて説明しているので取っ付き易いとは思った。例えば、「マクロ経済学」を理解するために、日本経済を一機の旅客機に例えている。操縦士は日本政府、副操縦士は中央銀行、乗客は国民と考える。エンジンは、「消費(家計調査)」「投資(機械受注)」「輸出入(国際収支状況)」そして「政府支出(公共)」と呼ばれる4つの計器があり、その合計出力(高度)がGDP(国内総生産)という事になる。尚、「政府支出」の出力維持には、「税収入」という燃料が必要である。客室温度に相当するのが「物価」であり、インフレ(高温)になったり、デフレ(零下)になったりするが、政府は室温が適温になる様に留意しなければならない。また、経済という旅客機には雇用量という定員があり、労働力に対する需要と供給がそれを決めている。旅客機に乗りたい人、つまり働く意思のある人の座席を全て確保されている状況を「完全雇用」と呼ぶ。そして、旅客機の高度や上昇角度、つまりGDPの水準や経済成長率は上昇(拡張)と下降(縮小)を繰り返している。これが「景気循環」であり、景気循環には、短期波動(チキン・サイクル)、中期波動(ジュグラー・サイクル)、長期波動(クズネッツ・サイクル)(コンドラチェフ・サイクル)がある。「財政」では、アメリカに於ける「アダム・スミス派」と「ケインズ派」という二つの経済理論を紹介している。共和党が基本としている政策が「アダム・スミス派」、民主党が基本としている政策が「ケインズ派」であり、この政策の相違は、各々の支持基盤の相違に基づくものである。共和党の支持基盤は、相対的に裕福な中級階級以上の人々であり、政府に対して多くを求めない、公共サービスは最小限で結構、むしろ税金を軽くして働いた分だけ収入が増える様にして欲しい。一方、民主党の支持基盤は、相対的に社会的弱者であり、富裕層から税金を多く取り、社会保障などの公共サービスに回す事を望む。翻って、日本の民主党政権を考えてみると、今後「増税」「社会保障の拡大」「政府の積極的な介入」の度合いが強まっていくのではないかと思う次第。経済入門(2004/03/19)浅子 和美玉手 義朗商品詳細を見る
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