もう2ヶ月も前のニュースになりますが、今日読んだC&ENの記事から。6月22日号に出ていた、Online Discoveryという記事(非会員でも読めます)が目にとまりました。製薬大手のEli Lilly社が始めたプロジェクトで、特にアカデミアの研究者に向けたものなわけですが、もしもあなたが新規な(有機)化合物を合成したり単離したりして持っていて、しかもその使い道がはっきりしていない、つまりその生物学的性質がわかっていないようなら、とりあえずその情報(化学構造など)をsubmitしてみませんか?というもの。無料のアカウントを作っていただければ、Eli Lilly社でその情報をconfidentialに管理、分析した上で、医薬品としての開発の可能性がありそうなら、実際にサンプル提供をお願いし、無料でアッセイしますと。Lillyの場合、想定している対象疾患は、アルツハイマー、癌、糖尿病、そして骨粗しょう症といったあたり。おもしろそうな場合は別途契約等を煮詰めながらライセンスなどを検討し、そうでない場合もスクリーニング結果はサンプル提供元にお返しし、自由にpublicationに使ってくれて構いませんという、アカデミアの研究者の希望に配慮したものとなっています。6月の時点で、すでに65の大学が興味を示しているとのこと。世界中から募っていると思うので、日本の大学の有機化学の研究室のみなさんも、投稿されてみたらいかがでしょうか?Lillyはだいぶ前に、.Innocentiveという合成化学の問題解決を群集の英知に委ねる先進的な企画を立ち上げたこともあり、新しくおもしろい試みを繰り出す会社です。今回のプロジェクトも、公的な機関では割と昔から行われている類のものではありますが、大手の民間企業であるだけに万が一うまくいったときの金銭的なリターンの可能性はちょっと違うと思いますし(^^)、基本的にWIN-WINな構造ですから、おもしろいのではないでしょうか。

投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年8月19日(水) 22:29