初めてみる顔で、一人でカウンターに座り、「適当に握ってください」 と言われると、こころなしか緊張する。もちろん全力投球、のぞむところだ。相手はメニューも見ないですべてこちらに任せてくれるのだ。それにしてもやりにくい客だ。一言も発せず、出した寿司をテンポよく口に放リ込む。ひととおり手の内を出し、「もう少し握りますか?」 と聞くと、「では最後にもうひとつ」。たいら貝を、「上野百万石」 で出してもらったように、軽く炙り、レモンと「小笠原の塩」、とっておきの「原稜郭」の一味をふり、極上の海苔で巻いてさっと出す。シャリ無しのたいら貝手巻きだ。心の中で 「どうだ!!」 ・・・・・・・・「ごちそうさまでした。お勘定を。」最後にオレンジを切って出したところ・・・「うまい!! いいオレンジですねえ!!」じつに嫌な客だ。とまあ、ここで、「お客さん、初めて口利いてくれたら、オレンジでしたね?」と言うと、「いえ、ずっとおいしいと思いながら食べてましたが、言うタイミングを失って最後になりました。s○さんの紹介できました。」「え? そうですか。なんだ早く言ってくれたらいいのに。抹茶アイスクリームいかがですか?アンコは自家製ですよ。」「ん~んうまい!! おいしいあんこですね~」とてもおいしそうに食べてくれた。
投稿者: 寿司豊味ととろぐ Sushitomi 投稿日時: 2009年4月23日(木) 11:18- 参照(243)
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