うちのダンナはアメリカ人なので、滅多なことでは謝らない。私の行きつけの美容師さんは日英バイリンガルのショージさんという日本人なのだが、ショージさんいわく「アメリカ人にとっては、I'm sorryっていうのは、きっと4-letter wordと同じくらい、言ってはいけないタブーなんですよ」4-letter wordとは、fxxkとかsxxtとか、そういう良い子の皆さんが真似してはいけない言葉。もとい、ダンナであるが、普段私の話しを全く聞いていない。先日もレストランで向かい合って食事中、わたしが1分間くらい何かを滔々と説明していた時のこと。ダンナはフンフンと相づちを打ちながら私の目を見て話しを聞いていたが、その目が死んでいる。これは聞いてないな、と思った私。普段はそこで話しをやめるのだが、その日はちょっと意地悪に「かくかくしかじか、と私は思う訳だけど、How do you think?」と聞いてみた。話しを聞けない男、絶体絶命のピンチである。想像通り、間髪を置かず死んだナマズのようだったダンナの目に光が戻ってきた。質問の覚醒効果は偉大なり。(どうせ聞いてなかったはずだが、どうやってこの窮地を乗り切るのだろうか)と興味津々の私。するとダンナは、堂々と以下の通りの発言をした。「I wish I were listening to you.  It must have been very interesting」・・・さすがアメリカ人なり。「悪い、聞いてなかった」でもなければ「ごめん、もう一回言って」でもない。かといって「うるさい、いちいち聞くなよ」と逆切れするわけでもない。で、このダンナの発言を和訳するとこんな感じでしょうか。「君の話しを聞いていればよかったのに、と思うよ、ほんとに。きっと、とても面白い話しだったと思うんだ」・・・・おまえは村上春樹の小説の登場人物か。実際村上春樹の文章は、英語をそのまま和訳したような感じなわけですが、会話の奥にある登場人物の「魂」も、謝らない、逆切れしない、他人事のように理路整然と感想を述べる、というアメリカ人の魂が宿っているんだなぁと感心した次第です。<追記:アメリカ人だって謝るぞ、というコメントを複数頂いたので、その点について、アメリカ人は謝るか謝らないか、でもう少し詳しく書きました。>

投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年3月18日(水) 16:54