シリコンバレーに来ずともアイデアはいろいろ出てくるはず、でも本当に興味があるんだったらやっぱりシリコンバレーに来ないとね、という話しが前回、前々回のエントリーであった。そして今日はそれを裏付けるような人に偶然会ったのでご報告。バイクと自転車のハイブリッド、ErockITで起業中のStefan Gulas。Palo Altoでお茶してたら、偶然隣に座ってたのが彼。ドイツでプロトタイプまで出来たので、本格的に市場に出すためにシリコンバレーに会社を移すべく、その準備に来たのだそうだ。うーむ、あまりに昨日、おとといのエントリーとぴったりで、まるでとってつけたようだが 。もとい、どんなものかはこちらのYouTubeビデオを見てください。日本にも電動自転車はいろいろあるが、あの手の「免許のいらないママチャリ」ではない。人力を50倍まで増幅、最高時速80キロもでるので、ちゃんとバイクの免許がないとダメ。(追記:「ハイブリッドはプリウスみたいなガスと電気ではなく、「自転車とモーターバイク」、つまり「こぐ力と電気」のハイブリッドです。)重さ110キロ、ギアは一速、リチウムイオンバッテリ搭載、一回の充電で70−80キロ走行可能なり。かなり笑えるのが「スピードの変化はペダルをこぐ速度で決まる」というところ。こぎ始めは普通の自転車風の動きなのだが、ぐいぐいとこぐうちにバイクの加速を見せ、80キロまで出るわけです。80キロでもひたすらこぎ続けないといけない。見た感じ「自転車に乗った地味なスーパーヒーロー風」。(つまり、「自転車」という一見地味になモノに乗っているのに、急加速してヒーロー化する。)ファウンダ−氏は、ドイツでは路上を走る許認可も取りつけ、ヘルメットにカメラをつけてあちこち走りまくったとのことで、いろいろ面白い映像を見せてもらった。周囲の車の運転手の中には、驚愕のあまり信号待ちでわざわざ車を降りて「これなに?」と聞きにくる人も。バスの運転手は、信号が青になっても話し続けていたり。(ドイツ人ってルール遵守じゃなかったのか?)開発には3年半かかったそうで、ついに公道を走れるようになったとき、アウトバーンに入るところで奇声を上げる、というビデオも見せてもらった。3年半の夢が実現し、死ぬほど嬉しくて雄叫びを上げたんだそうである。ちなみに、現在ベルリンに12人のチームがいて、これまでは全て自己資金・・というか「パパ資金」だそう。お父さんがルーマニアでBMWの代理店のチェーンを立ち上げたとのことで、そのバックアップでここまで来たそう。「ドイツ人は新しいものなんか買わない。新しいアイデアで起業する、なんて言っても『全然ダメ』というネガティブなことを言う人しかいない。ここから先はシリコンバレーじゃないとね!」とのことでした。「でも、ビザとか意外に大変だけど大丈夫?」と聞いたら「全然問題ないっ!Schwarzeneggerだってオーストリア人だけどちゃんと来てるしっっ!!だから僕も大丈夫っっ!!!」と超能天気。さぞやベルリンでは浮いてるんだろうなぁ・・・。(ちなみに、ドイツで工学系のマスターまで取っているそうで、さらにはパパ資金もあり、しかもプロダクトも出来ているので、確かにビザ的にはハードルは低い。)昨日はLos AngelesでJay Leno(超有名芸能人)のGarageに行ったのだそうだ。「アポなしっ!直撃っ!ガレージのマネージャはスイス人だったっ!」とのことでした。「ドイツでアポなし訪問なんてしたら大変だよっ!」・・・アメリカだってちょっとは大変だよ。でも、やっぱり当地はみんな新しい物好き。カフェでも、私の反対側の隣のカップルが興奮して彼といろいろ話しをしていて、女性の方が「Buck'sのオーナーと友達だから紹介してあげる」と一生懸命言っていた。Buck'sは、Palo Altoからほど近いWoodsideというところにある、ベンチャーキャピタリストのブレックファストミーティング御用達で有名なレストラン。オーナーはもちろんみんなと知り合い。というわけで、こういうのが「シリコンバレーに来ないとわからないこと」なわけですが、でも「シリコンバレーに来る前にプロトタイプまで作ってきた」からいろいろな人と話しが弾むんですよね。ちょっと微妙なのは、ErockIT、「ベルリンでハンドメード」と銘打っているだけあって、1台3万ドルだそうです。うーん、誰か原価30万円くらいで作ってあげられないでしょうか?
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