応募締め切りは3月18日。Y Combinatorはインキュベータ的ベンチャーキャピタル。主にインターネット系のアイデアに対し、小額の投資+起業指南+A級の人的ネットワーク紹介をしてくれる。Hackers and PaintersPaul Grahamが創設者の一人で、2005年から80社のアイデアをバックアップしてきた。Y Combinator出身のベンチャーの中には、ちょくちょくメディアにも登場するjustin.tv、Scribd、xobniや一流VCのSequoiaから投資を受けたLooptやDropbox、すでに買収されたAnywhere.FM(by iMeem)、Reddit(by Conde Nast)、Omnisio(YouTubeに1500万ドルで買収)などもある。LooptはSequoiaから見放され売りに出されているようだが、Sequoiaからの投資を受けるところまでいったところがスバラシイ。というわけで、一気呵成にシリコンバレーのインサイダーになりたい人は、是非応募してみてください。日本からでも応募可能なはず。イギリスのベンチャーでY Combinator出身というのもあったと記憶してます。基本的にはプログラマ向けのプログラムだが、そうじゃなくてもOKだそうです。ビジネスの人とプログラマの組み合わせでの応募というのも可能。こちらのサイトに説明があるが、申し込みから合格後の流れはこんな感じ:

  • 3月18日までにオンラインフォームで申し込み
  • 3月30日に一次結果発表、4月17−19日にMountain Viewで面接、即時最終結果発表
  • 選ばれたアイデアには、5千ドル+人数×5千ドルを出資。出資比率は2-10%(過去平均は6%)
  • 出資比率で合意すれば、その場で当座の資金として必要な額の小切手を渡す。残りは会社を設立した後に会社に振り込む。会社設立はY Combinatorがしてくれる
  • 選ばれた人・グループは6−8月の間Mountain Viewに住んでバリバリとコードを書く。Y Combinatorにも使えるオフィススペースはあるが、できれば在宅で働いて欲しい。その方が成功するヨ
  • 6−8月の期間中は毎週火曜に選ばれたグループ全員を招いてのディナー開催。ディナーでは、毎回起業に役立ちそうなエキスパートをスピーカーとして呼んでくる
  • また、期間中は、いつでも相談に乗る
  • 期間中10週たったところで投資家の日を2日設ける。ここでプレゼン可能なので、次のファンディング元を探してね
  • 期間終了後もアドバイスするし、これまでにY Combinatorから投資された他のベンチャーとのネットワークもあり

というわけで、何が素晴らしいかと言うと、もらうお金じゃなくて指導と人的ネットワークの紹介。Y Combinator出身ベンチャーは、シリコンバレーの蒼々たるアントレプレナーがエンジェル投資家として名を連ねるところも多々あり。なお、日本から応募して6−8月のMountain View滞在のビザはどうするんじゃ、という懸念があるかもしれないが、一応給料もらう訳じゃないので観光ビザで滞在可能なはず。(Y Combinatorからもらう資金は出資であって給料ではない。)米国入国の通関で「バリバリコード書いて起業するためにアメリカに来ました」とか言うとマズイことになるとは思うが。受かったら、安く住むところくらいはお探ししますのでメールしてください。+++ちなみに、100−200万円ほど投資してくれるこのY Combinatorにどういう意味合いがあるかと言うと、そもそも自分でコードがかける人にとっては、インターネットベンチャー起業には大して資金がいらない、ということがある。PricewaterhouseCoopersとNational Venture Capital Associationが、1995年から四半期ごとに取っているベンチャーキャピタル投資額の推移グラフがこちらにあるが、これを見るとわかる通り、1999年から2000年にかけての投資額はものすごい。しかし、それ以降はweb2.0だなんだと大騒ぎされる割に全然突出しておらず、淡々と推移。感じで言うと、日本の人口ピラミッドのでこぼこをさらに激しく強調した雰囲気である。さすがに2008年の10−12月はちょっと減っているが、2000年から2001年にかけてのものすごい減り方に比べればどうということもない。なにがいいたいかというと、web2.0系のベンチャーは雨後のタケノコのようにできたが、ベンチャーキャピタル投資はそれに対応して増えていないということ。ベンチャーキャピタルは多額の資金を運用しているところが多く数百万円、数千万円規模の小額の出資は面倒。しかし、ベンチャー側は少なくとも最初はそんなにお金はいらないし。ということで、その隙間に対応するのがY Combinatorなわけです。

投稿者: On Off and Beyond 投稿日時: 2009年2月17日(火) 23:03