といっても本やレストランのことではなく、しばらく前に、同僚のところにあるテーマでのreview articleの依頼が来て、関係者数名で分担して書くことになった。Reviewは初めてである。ありがたくこの新しい学びの機会を受けさせていただくことにした。でも僕は大学4年で研究の世界に入ったときから、基本的に人の英語論文を読むのが好きじゃなかった。というか英文読解力が高くないので、単に読むのが苦痛だったというのが正しいかも知れない(今でもだけど)。あとは、そこまでしてがんばって読みたくなる分野というのがほとんどなかったということもある。少ないながらも自分が興味を持った分野に関しては、それでもまあ、ある程度は読んだものだけど。だから雑誌会(英語ではjournal clubというらしい)というのも好きではなく。特に自分に順番が回ってくるのが大変苦痛だった。それがreview執筆である。言語バリアがある日本人でさえ、こんなことが好きな人がいるというのは信じられない。Reviewを書くということは、た~くさんの論文(しかも英語)を読んで、それらのエッセンスをうま~いこと抽出し、つまり大量の情報を簡潔にまとめて他人に紹介するということ。今回は分担しているので、そのテーマのすべてをひとりでカバーする必要はないのだけれど、それでもまあそれなりのボリュームになる。ま、実際には引用する論文をすべて細部にわたって読むわけではないけれど、とにかくポイントを見極めて、採用するかどうかを判断し、採用する場合は上手に要約しなければならない。発表されたときに、できればそれらの論文の著者たちを怒らせたくもないし(^^;)。ただ医薬品業界でこういうことをするときに特に難しいのは、論文にはなっていないけれど、特許が出されている場合だ(実は多くの場合がそうである)。アカデミアからの投稿であれば、特許は無視されていても文句は出ないだろうけど、インダストリーにいるとそのあたりもカバーしておきたくなったりする。実際問題、論文発表はないのに、ひそかに臨床開発が進んでいるということはままある。そして特許というのはかなり曲者で、それだけではどれが本命化合物なのかわかりにくい場合も非常に多い。このへんをうまいこと調べ上げるのは、ぶつぶつ言いつつやっていながら、ある意味レビューを書く醍醐味と言えるかも(笑)。このドラフト締め切りが目前に迫ってきた。だいたいみなさんもそうだと思うけど、これでもか、といろいろな案件が重なって攻めてくるというのはよくあること。大概はできるときにやっておくという早めの対応をしていないがためにそういうことになるのだけれど、今回もその典型的なパターンに陥った。期限付きの合成(実験)、期限付きのポスター、期限付きの論文原稿、期限付きの社内プレゼン資料・・・ おかげで週末もずいぶん費やすはめになっているけど、幸い家族の協力、というか理解もあって、何とかなりそうになってきた。いや何とかしなければ、JBCツアーに突入できないし(笑)。ところで3月6日(金)に、サンフランシスコで開かれるAmerican Academy of Dermatology (AAD) という学会でポスターを発表します。
投稿者: A-POT シリコンバレーのバ... 投稿日時: 2009年3月1日(日) 01:02- 参照(306)
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