書籍:「パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ」(★★☆)コメント:久しぶりに理系的な書籍でも読んでみようと購入してみました。発想の転換のためにも、ジャンルの違う本も良いと思う。私自身に専門知識が無いので何処まで内容を理解出来たのか疑問であるが、宇宙の運命に関する探究は、単なる宇宙物理学だけでなく、神の存在や精神世界までも表現している様でもあり、非常に魅力的な内容であった。また、SF小説や「グッド・ウィル・ハンティング」のような映画を例示して出来るだけ本文を補足しているので読み易い。現在、宇宙の起源や運命を探求する挑戦は、科学の進歩により天空を走査出来る人工衛星、最新鋭の重力波検出器の登場により黄金時代を迎えているとの事。本書籍では、先ず宇宙(ユニバース)に関する研究である宇宙論の進歩を記しており、ニュートン、アインシュタイン、ダーウィンやホーキングという「知の巨人」達の功績を知る事が出来る。2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏の名前も記載されている。また、ワームホール、スペースワープ、タイムワープ、および、それらを高次元で結び付ける方法に就いて論じている。また、超ひも理論やその発展形であるM理論により、我々の宇宙は、たくさんの宇宙からなる世界の一つでしかないという多宇宙(ユニバース)の可能性に就いて論拠を与えている。そして、科学者は、宇宙の終わりとして、あらゆる熱源が使い果たされ冷え切った暗黒の時代「ビッグフリーズ」に辿り着くとしている。ここに至る過程の中で、知的生命は生き残れるのか?人類は、生身の体よりも寒さに強い機械の体を受け入れるかもしれない。やがてはロボットでも生命の維持は困難になる。そして、遠い未来の先進文明が物理法則を、どの様に利用すれば、終焉を迎えた我々の宇宙から「救命ボート」に乗って別の暮らしやすい宇宙に移って復活の道を歩んだり、宇宙が温かかったころまで時間を逆戻りできるか、に就いて推論を展開している。遠い未来の暮らしはどんなものだろうか?選択はわれわれにかかっている。それは今の世代が後世に残す遺産であり、われわれの運命なのだから。今から一世紀か二世紀か、あるいは一千年経てば、人々は新しいやり方でより幸せな生活をしているだろう。それを目にすることは、われわれには出来ない-なのにわれわれは、そのために生きて働き、苦しんでもいる。その生活を今創造しつつあるのだ。それこそわれわれという存在の目的であり、われわれの知りうる唯一の幸せは、その目的に向かって励むことなのだ。 -アントン・チェーホフ戯曲「三人姉妹」-下記は、本書籍内でも取り上げられているリサ・ランダル氏の特集。パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ(2006/01)ミチオ カク商品詳細を見る
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