使い方はともかく、日本では買えないし、海外在住なだけでは買えないのだから、グリーンカードが取れたら、まずは使ってみたいと思っていたジャパンレールパス。外国人と外国永住権をもつ日本人だけが買うことができる、特権のひとつ。先の東京出張の際には、東京に一ヶ月近く滞在することが分かっていて、毎週末には実家のある豊橋に行こうと決めていたので、ジャパンレールパスを買ってみることにした。どうせだから、一番高いグリーン車用のやつ。右の写真でもわかるようにぼくは緑色だし、環境にも優しいので、緑の席じゃないと似合わない。ぼくが買ったのは、「三週間、のぞみ以外の JR の電車とバスにのり放題で 79,600円」というもの。これが高いのか安いのかよく分からなかったけれど、どうせグリーン車にのり放題なのだからと、祝日には姫路城にも行って来たりした。結果、さっき計算してみたら 15万円分くらい電車に乗ってた。悪くない。出張ではなく、遊びで行っていたら、30万円分くらい乗れてたと思う。ジャパンレールパスに関して、同僚や友人たちと話をして面白いと思ったことが三つある。ひとつは、ユーレイルパスのことを知っている人は多いのに、ジャパンレールパスのことを知っている人がほとんどいなかったこと。日本では買えないし、海外赴任している人でも買えないのだから、日本人にはほとんど関係ないものであるのは確かにそうだけれど、そういうものがあるということすら知らないというのは不思議だと思った。ユーレイルパスというものがあるということすら知らないのなら、いいけれど。関係なければ知らないものなのかな。そういうぼくは、いつから知っているのかなあ。もしかしたら渡米したばかりの頃は知らなかったのだろうか。なんで知っているのかはまったく覚えていない。ちなみに、ユーレイルパスについては、ぼくは 18歳の時にバイトしていたところのマスターに教えてもらったことを覚えている。マスターは、若い頃に欧州を放浪していたことがあり、ユーレイルパスであちこちに行った体験を何度もぼくに話してくれた。マスターは、しきりにぼくに海外に出ることを勧めていた。「おまえみたいなヤツはいちど海外で頭を打って来た方がいい。日本は狭いよ」って何度も言っていたけれど、その時のぼくは、マスターの話を冗談半分に聞いていた。まあ、いつかそういうことができたら愉快だな、くらいに考えていたし、あのときマスターが話してくれたことが、結局何かの役に立ったとは思わない。でも、そのことを今でも鮮明に覚えているということは、きっとぼくの心にへばりつく何かがあったのだろうと思う。ぼくが若い連中に「海外に行ってみろ」と言う時は、いつもマスターのことが心の片隅にある気がする。ぼくの言葉がきっかけそのものにならなくても、もしかしたら、若い連中の心の片隅にへばりつくかも知れないしね。もうひとつ面白いと思ったのは、日本では JR の社員以外は誰も知らない秘密のジャパンレールパスは、じつはものすごく使われていたこと。自動改札を使えないから、駅員がいる端っこの改札をパスをかざして見せながら通ることになるのだけれど、その端っこの改札を通っているガイジンは、ほぼ全員がジャパンレールパスを使っていた。ええ、ぼくがみたガイジンの、ほぼ全員。姫路城に来ていた客の多くがガイジンだったけれど、ぼくが話したガイジンの全員がジャパンレールパスを持っていた。全員って言っても五人くらいだけど。ベイエリアに住んでいる日本人としては当たり前のことだけれど、アメリカには、一般のアメリカ人の伺い知ることすらできない文化やルールというものがたくさんある。固いクラスタというわけでもないし、部外者は絶対に入れないということではないけれど、知らないので入れない。そういう文化クラスタがたくさんある。出身国別だったり、出身州別だったり、出身大学別だったり、いろいろ。日本にも、日本人にはまったく関係がなく、知るよしもない文化や特権があって、でもガイジンはガイジンで当たり前のようにその文化圏で恩恵に預かっているのだなあ、面白いなあと感じた。隣でジャパンレールパスを見せて使いまくってるのに、誰もそれに気づいていないし、存在すら知らないんだからね。三つ目は、なんでユー「レイル」パスなのに、ジャパン「レール」パスなのかな、ということ。変なの。
投稿者: ぼんやりと考えたこと 投稿日時: 2008年10月26日(日) 21:33- 参照(229)
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